健康診断

以下の記述に注目されたし。

文藝春秋、2015年5月号

順天堂大学教授 白澤卓二

「最初にはっきり申し上げておきましょう。健康診断は無意味です。受ける必要は一切ありません。場合によっては、むしろ害悪になるケースすらありうる。

「早期発見早期治療」、これが医療の常識でした。私自身、医学部にどっぷり漬かり、医療界の常識を叩き込まれた結果、世間で行われている健康診断が「元気な身体に戻す」という医療の本質からいかにかけ離れているのか、恥ずかしながらつい最近まで気がつきませんでした。

昨年健康診断の基準範囲がゆるめる方向に改定されました。その結果何が起こったか。生活習慣病の患者数が大幅に減りました。

実は基準値の変更は過去に何度も繰り返され、そのつど病人の数に増減が起こりました。基準値の変更はいずれも科学的見地に基づいたものでなく、国の予算や製薬会社のビジネスといった経済的な理由が背景にあったとわたしは見ています。

昨年の基準値がゆるく変更されたのも、医療保険の財政悪化が動機の一因であったのは間違いないでしょう。・・・・・・」

どうでしょうか。現役の医学部教授の発言ですよ。この方はもう既に教授になられているので、どんな発言をされても、今から地位を脅かされることはありません。

全く同じ発言は30年ほど前に、当時慶応大学医学部講師であった近藤誠氏によってなされ、以降一貫して患者の視点に立った啓蒙発言(=医学会を敵に回す発言)を続けてこられた。その結果どうなったか。万年講師に甘んじなければならなかった。自らの出世よりも患者の救済を優先された、えらい先生だったのです。

・春雷や何事もなき夜を襲う