小春日の心地よい午後、近くの教会でのリコーダーコンサートに出かけた。このサークルは30年の歴史があり、数年前まで私も所属していた団体。
会場はこんな雰囲気の素敵な教会です。
オカリナは、故郷を思い起こす懐かしい音色、に対してリコーダーは正に天上の典雅な響きなので、こんな会場がリコーダーにはぴったりです。
一般にリコーダーは、小学生のおもちゃと思われていますが、ここでそのイメージを払拭していただきましょう。
ごらんのように、歴史が古く、大編成の劇場オーケストラが登場するまでは花形管楽器でした。形は、木に穴を繰りぬいただけの簡単なものですがとても奥の深い楽器です。
・故郷の笛のこぶしや秋深し
・冬日さすステンドグラスの祈りかな
以下は昔書いたリコーダー豆知識です。
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リコーダー(縦笛)は、今では小学生が誰でも習うポピュラーな楽器になっていますが、もともとは16-18世紀に栄えて一度は絶滅したとても歴史の古い楽器です。材質は勿論プラススチックではなく、ちゃんとした木管楽器です。
当時は、単にフルートといえば、横吹きのフルートでなくリコーダーのことでした。バッハ以前のいわゆるバロック、ルネッサンスの著名な作曲家は競ってリコーダーの名曲を作曲し、その音楽が重要なリコーダーのレパートリーとして数多く現在に伝わっています。
このように大変栄えたリコーダーですが、音の強さのコントロールが極めて困難なこと、音量も現代楽器のヴァイオリン、チェロ等と競うには貧弱なことの弱点があって、大音量のオーケストラの普及に追随できず、横吹きのフルートに主役を奪われる形となりました。
それとともにリコーダーは衰退し、永らく忘れられた存在になっていました。ところが近年の古楽(ルネッサンス、バロックのいわゆるEARLY MUSIC)の復興によって、リコーダーも息を吹き返すこととなり、今ではプロ・アマ含め世界中の多くの愛好家が古楽だけでなく色々なジャンルの音楽をリコーダーコンソートで楽しむようになっています。
リコーダー(Recorder)の名称は英語の「小鳥がさえずる」の意味の動詞recordに由来しています。13世紀ごろのキリスト教の英訳文献に初めて現れたといわれています。この楽器の音色が小鳥のさえずりに似ているからとか、あるいは当時リコーダーで小鳥になき方を教えたことからこの名称がついたようです。
文献によれば、音響学的にもリコーダーの音は、管楽器の中でもっとも純音に近い透明な音色であることが明らかにされています。このことからもリコーダーの名称はこの楽器の本質をもっとも端的に表しているといえます。
ちなみに他国語での呼び名は、ブロック・フレーテ(ドイツ語)、
フリュート・アベック(フランス語)、フラウト・ドルチェ(イタリア語)、リコーダーまたは縦笛(日本語)。但し、最近は縦笛という名称は学校でも使わなくなったとか、どこかで読んだ事があります。
縦笛というといかにもオモチャっぽいイメージに結びつくからでしょうか。いづれにしても、リコーダーというのは子供のチャンバラの道具のようなおもちゃとは無縁の、深い音楽性を追求できる木管楽器です。
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紅葉狩りの句
参考ブログ
紅葉狩りに出かけて‥ - sinsintuusin’s diary
・山寺の雨に艶増す薄紅葉
・声明の声聞く山の紅葉狩り
・想いでの尽きせぬままに紅葉散る
・紅葉散り静かな寺となりにけり
・紅葉の紅を纏うや池の鯉