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「あん」見ました。

今日の午前中、近くの会館で自主上映された、「あん」という映画を見た。うちの奥さんが前売り券を買っていたのを、何の予備知識もなくなんとなくついて行ったので、アンというのは人の名前かと思っていたくらいである。
上映開始と共に目を見張った。いつも乗ってる西武池袋線の黄色い電車が走っているではないか。さらに目を凝らすと見覚えのある桜並木、おまけに度々このブログに写真を載せている小川の支流に掛かる西武線の鉄橋・・、

それもそのはず、舞台は私の住む東久留米の隣町清瀬ハンセン病療養所多摩全生園で、テーマは今も根強く残るハンセン病への偏見差別だからです。
そして、あんとは人名なんかでなくたい焼きなどの「餡」。

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あらすじ
さるどら焼き屋「どら春」の雇われ店長のもとに、ここで働くことを懇願する老女「徳江」
=徳ちゃんが現れた。雇ってみると彼女は餡作りの名人。瞬く間に評判となり店は大繁盛。
ところが、徳ちゃんにはひとつ問題があった。実は彼女は全生園在住のハンセン病経験者だったのである。

その噂が広まり、ハンセン病=怖い不治の病という無知とあいまって客足は突然ばったり止まり、店のオーナーに解雇されてしまう。徳ちゃんを守り切れなかった店長も結局店を辞めて、公園で屋台のどら焼き屋になる。・・

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このようなストーリーが静かに流れるだけの映画だが、見終わった人は映画から偏見差別に対する強烈なメッセージ性を感じるはずである。これは正に俳句の手法だ。

こういう社会は間違っているでしょう、こういう社会に改めるべきでしょうと縷々述べたいのをじっとこらえて、ただ事実のみを提示して、感動や思考は観客に委ねる。にくいですね~。この監督は俳句の名手に違いない。

「あん」と「偏見差別」、無関係なものの取り合わせ、これも俳句制作手法のひとつです。俳句を志す人はこの映画を見ましょう。
実は、その昔学生時代にハンセン病の差別偏見問題にちょっとだけ関わったことがあります。
国際ワークキャンプの東海地区委員長を任され、農村、施設、ハンセン病療養所を回ったことがあり、その時初めてハンセン病が普通の完治する病であることを知りました。1970年くらいのときですから、まだ一般にはうつる怖い病のイメージが強く、これを払拭させるのをサークルのテーマの一つとして活動していたのを思い出しました。その時の女子学生に徳ちゃんという可愛い子がいたのもこの映画で思い出した。それはともかく、21世紀の現在もこういう映画が必要だということはハンセン病に対する世の無理解偏見差別が50年前と同じだということで改めて怒りがふつふつと沸いてくる。

それと、うちの奥さんは、名人徳ちゃんの餡の練り方がジャムの練り方にすごい参考になる、と妙なところで感心していた。

・冬空を突く煙突の白さかな

・終活はいずれそのうち年新た

・小春日やあんに漂うほろ苦さ