平穏を祈る

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貼りつけた新聞記事を見るといつも心が痛みます。とりわけRECOCAは騒音に弱いので。騒音を浴びせる拷問もあるくらいなので、子供たちが発狂しないか心配です。

 ところで、この状況って日本国憲法違反だと思いませんか。日本国憲法には基本的人権、何人も平穏に生存する権利がちゃんと記載されています。ただし公共の福祉に反しない範囲で、という注釈付きですが。低空飛行の騒音が受忍限度の範囲内かどうかが争点になりますね。この場合、公共の福祉ってなんであるかご存知ですか。日米安保条約です。安保条約では、日本の決められた空域では騒音をばらまこうが何しようが、米軍機のいかなる飛行も許される取り決めになっています。低空飛行は危険だし騒音問題があるので日本の法律、航空法では禁止されていますが米軍機には適用除外です。これを治外法権と呼びます。ですから、日本政府がいくら騒音問題などで善処を要望しても、米軍が必要と認めればこれを譲ることは期待できないでしょう。

さて、今から60年前、立川の米軍基地拡張工事をめぐる裁判で憲法と安保を天秤にかける裁判が行われたことがあります。ご記憶の方も多いと思いますが、なんと東京地裁は安保に基づく米軍駐留は憲法9条違反、つまり違憲判決をだしました。これに慌てた米国は日本政府と最高裁に猛烈なアタックをかけ、結局この判決を覆してしまいました。それが、有名な「砂川判決」です。その骨子は、「安保条約のような重大で高度な政治性を持つ問題については、最高裁憲法判断をしない。」

この判例の意味するところは結局、安保条約は憲法の上位に位置するということです。ということはですよ、憲法だけいかに立派に磨いても安保条約に抵触すれば絵に描いた餅になることがある、ということではないでしょうか。そんな位置づけの憲法を、改定するだのなんだのとまじめに考えること自体いかほどの意味があるのかということにもなります。

ではどうすれば日本の未来はまともになるのか。若い方々に課せられた重い課題です。安保解消、米軍基地解消はもちろん立派な選択肢ですが、それには非常にシリアスな覚悟が前提にないと現実的ではありません。9条の理想論をバックアップする物理的何かが伴わないとだめだとRECOCAは考えます。社会党などが失敗したのはその点が十分でなかったからではないでしょうか。かとい って将来的に引き続き米軍にお願いするにしても、今の安保が米軍に保証している数々の治外法権状態がそのままでよいとは到底思えません。かつての明治政府が当時の不平等条約解消に奔走した知恵と努力がこれから再度必要とされるでしょう。

補足①もしアジアで米軍が戦争に拘ると、日本の米軍基地がフル稼働となり、好むと好まざるにかかわらず日本は戦闘状態になります。そうならないようにアジアの平和はなんとしても維持する必要があります。現在曲がりなりにも北朝鮮がトーンダウンして米朝会談の機運が生じたことはその意味でとても望ましいことと言えるのではないでしょうか。

補足②米軍機による低空飛行、騒音問題は基地周辺の限られたエリアの他人事と思っているととんでもない間違いで、いつ自分の身に降りかかってくるか分かりません。というのは、米軍が必要と思えば日本全土何処なりとも基地化できることになっているらしいのです。緊急時には全土が基地候補です。

補足③最後に気がかりなこと。安保関連について書面上では周知されていない、いわば密約めいたものが多く存在するといわれています。(詳しくは関連書籍をご覧ください。)もし本当なら、そんな状況でうかつに憲法などいじったら、どんな密約が目覚めて動き出すか分からないではありませんか。とても危険な行為だと思います。

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・緑陰や何を啄む雀の子

・古井戸の青恐ろしや木下闇(こしたやみ)

木下闇=鬱蒼と茂った樹木の下