孤独

朝日新聞記事に英国人は「孤独」に悩んでいるという記事が載っていた。成人の5人に一人が孤独を感じていると報じている。そして、それを解消するために国家を挙げて対策を講ずることになった。手始めに、孤独担当大臣の設置!こういう問題に国家の指導が効果的なものかの実験として興味深い。

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ところで、「孤独問題」に国家が乗り出す理由。個々の老人の心の幸福を願ってのことではない。もっとクールな理由から。下記に示すように、孤独に悩むと健康を害するという研究結果がある。それが結局社会福祉の国家財政や社会の生産性に悪影響を及ぼすと国が思うのがその理由である。新聞記事は次のように述べている。「米国のプリガムヤング大が2010年、過去の研究を分析し、世界の30万人の生活様式と健康の関係を調べた。孤独はたばこを1日15本吸うのと同等の健康被害があり、肥満よりも健康への悪影響は深刻である、と結論付けた。」

ただし、上記米国の研究は、ちょっと短絡すると間違った解釈をしてしまうと思う。たばこ15本の害が生ずるのは、孤独に悩むからであり、悩まなければ何ら問題はないはずである。むしろ逆に孤独を楽しむ境地になれば最高だ。私事で恐縮であるが、RECOCAは群れるのが大嫌い(上品に言えば「苦手」)である。幼少時から、とにかく人と同じことをするのが大嫌い、世間が右といえば左。ま~、単なる天邪鬼といわれても仕方がないが。この性格に加えて、仮に何らかの世に出る非凡な才能があれば、さぞや今頃大人物になってふんぞり返っておれたであろうに、その点はちょっと残念な気分がする。

会社勤めの時は、この性格を隠して諸事振舞うのが大変なストレスだった。考えてみれば、これは大きな健康障害になりうる。なぜなら、孤独であることに悩むのと群れてるのに悩むのは同じことだからだ。米国の研究通りなら、会社勤め40年、15本の喫煙を日々続けたことになる。定年でこれが解消された時の喜びは天にも昇る気分だった。

綾小路きみまろ、という芸人がいる。RECOCAの一番嫌いな芸人さんであるが。朝日新聞同日版に、きみまろさんの語った記事が出ていた。「会社を定年で辞めた人はかわいそうですよ~・・」やっぱりこのおっさん、考察が甘いね。老人=不安、定年退職=かわいそう、などと知ったかぶりの芸で稼がないでもらいたい。きみまろ君、君は世の中の半分しか見てないんだから。

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最後に、孤独であることの不安。じつは私は成人になって以降その状況になってないから、今不安など全くないなどと偉そうなことは言えない。しかし、「群れ」と「孤独」の比較のシミュレーションはできる。家族の付き合い、ご近所付き合い、親戚付き合い、サークル、友人付き合い等々、これらの仲間にいわゆるソールメイトなどいないのだから必ず何らかの、あるいは大きなストレスになる。その状況と究極の孤独、いわゆる天涯孤独の比較。どちらを好むか。まずその選択が大事である。それを誤るとボタンの掛け違いに悩むことになる。RECOCAの場合は、子供の頃に小児結核、2年の休学などで天涯孤独もどきの心境を味わったことがあるから割と耐性はあるつもりである。だから、「群れる」よりはずっと天涯孤独の方が好みだ。と今は言うが、実際にその状況に置かれたら分からない。悟った大聖人が、いざ自分の死に際してどうするか分からないのと同じだ。