癒しの音色オカリナを追求する記事

雑誌「Ocarina Vol.10」に載った記事です。

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まず、オカリナ特有の温かい感じの音色は空気の通ってくる管の材質が関係していることが考えられます。木管楽器のくぐもった穏やかな音と金管楽器のシャープな音色を比べてみればわかると思います。オカリナはこれら両者と異なり土であることがより優しい音色を醸し出しているのでしょう。波形の上では何か特徴がみられるのでしょうか。オカリナの波形分析をするとこんな波形だそうです

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とても純粋なサイン(サイン・コサイン・タンジェントのサインです)の形をしているのが特徴です。

それに比べて他の楽器、例えばフルート、ヴァイオリンの波形は下図B、Cに示される通りです。

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Bのフルート:サインカーブにわずかなひずみがあります。スペクトル図をみるとメインの440ヘルツ以外に音量は小さいですが他の周波数の波形が混ざっていることを示しています。

Cのヴァイオリン:さらに複雑な波形になっています。スペクトル分布を見るとさらに多くの周波数の波が混じっています。

ちなみに同図のAは純音、すなわち音叉の音の波形です。

これらのことから、オカリナは音叉の音、純音に近いということができます。これがオカリナの音の特性です。

音叉とオカリナの波形は純音で同じ形をしている。しかし、音叉の音が人を感動させることはないのにオカリナはなぜできるのか。上記記事の著者三牧先生の説によると、それはオカリナの音は土の管を通った音だからということになります。

オカリナが他の楽器に比べて人の心により深く届く理由はやはり波形のシンプルさにあるようです。これも三牧説ですが、波形がシンプルだから、聴覚神経を通して大脳皮質の聴覚野というところに到達しやすいということが推察されます。だからオカリナは人の心にダイレクトに響くということではないでしょうか。

ここからは私の考えです。

オカリナの吹き方についてですが、私の過去のユーチューブを視聴してくださっている方はすでにお気づきと思いますが、わたしはビブラートをほとんどかけません。かけませんというか、かけられないのです。これは私の40年のリコーダー歴で徹底的に叩き込まれたノンビブラート奏法の残骸なのです。これまでビブラート奏法ができないことにやや劣等感を持っていましたが、シンプルな波形の今回の記事を見てそれが解消したような気がしました。というのは、シンプルな波形の特徴を最大限生かすなら絶対ノンビブラートが有利と思うからです。ここぞという箇所でのみの最小限のビブラートに留める、これが一番良い奏法だと思いました。

ここで再掲するのは半年前にアップした、RECOCAによるオカリナで川の流れのようにです。お聞きになって分かるようにノンビブラートに徹しています。一方ひばりさんの歌唱はビブラートの名手。ひばりさんの歌唱を聞きなれた方にはRECOCAのオカリナの川の流れ~にはに違和感を感じるかも知れません。あるいはそれを逆に新鮮な感じに受け取っていただければ嬉しいです。出だしの箇所はちょっと音程不安定ですが・・。

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