徒然草②

徒然草が語っているのは人生の無常感だけではないことが素晴らしいと思って読み直している。

例えば第85段は、学ぶとは真似ることだという真理を独特の比喩で教えてくれている。この中では、意味が分からなくてもいいから、まず形を真似なさいと言っている。これは特に日本の芸能の教育システムの基本であると思う。

「人の心は素直でないから、嘘をつくこともある。しかし、世の中には稀に嘘を知らない正直な人もいる。このような心のきれいな人を羨ましく思うのが普通であるが、なかには劣等感からか、賢い人を憎み、悪口を言う最低な人間もいる。こういう輩の性根は一生治らず、愚かにも賢人のうわべだけ真似ることすらできない。

悪人の真似をして人を殺せばその人も悪人になる。偽りであっても、賢人を見習おうとする人は賢人といっていいのである。」

こころのきれいな人や賢人をいじめる輩は最低の人間で、その性根は死んでも治らないともいっている。これは現代の社会に当てはめると、学校や職場でいじめる人間の性根を叩き直すは容易でないと読み取れるのではないだろうか。