偶然

デカルト以降の物理学によれば、人間の思考とこの世で起きる物理現象には何の因果関係もないとされる。たとえあるように見えても、それは単なる偶然の一致に過ぎない。

 

ところがそうでない偶然の一致があると、心理学者のユングが唱えた。いわば、意味のある偶然の一致で、ユングはこれをシンクロニシテイ(日本語では共時性)とよんだ。

 

それは例えば次のような現象である。誰かのことを考えていたら、その人から電話が来た、とか、でんわが鳴ったらAさんのことを思い浮かべたら、やっぱりAさんからの電話だったとか、誰かにあわねばならないと思っていると都合よくその人に遭遇すとか、あるいはいわゆる虫の知らせなどもこの類に入るだろう。

 

変な考えだが、私は同じ共時性でも、ポジティブな共時性とネガティブな共時性があるように思えてならない。上で述べた事例は全てポジティブな共時性である。じつは家のかみさんは、見るところかなり強いポジティブな共時性の持ち主にみえる。

一方ネガティブな共時性とは、こういうことが起こってほしくないと思っていると、そういうことが起こってしまうという共時性である。

 

私が実はそれ。なぜそう思うかというと、近所に非常に相性の悪い隣人がいて、できれば顔を合わせたくないなと思っているにもかかわらず、かなりの頻度で帰宅外出時にその人と遭遇してしまうからである。

このことはこの10年以上気になっていて、なぜそうなのかなぞであったが、何のことはない、ネガティブな共時性と解釈すればすんなり理解できることに気がついた。

 

だから、顔を合わせたくないという思いを潜在意識の中から消し去ればいいわけである。ただし、言うは安し、行うは難しだが。