哲学もどき2

東久留米は木曜から今日まで30度以下の曇りや雨の日が続いています。

涼しいので哲学の入門書(哲学の教科書 中島義道)と思って頑張ってみたのですが、何度読んでもどうしてこれが問題なの?、という箇所ばかりで疲れました。

一番引っかかったのは時間、特に過去。

上記教科書を以下「本」と呼びます。本では、「過去は存在しない。」と述べています。物事は全て現在起こっており、宇宙のどこにも過去という時間をもった事象は発見できないと。

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確かにその通りで、起こったことはすぐ推移して眼前から消えてしまいます。つまり、私たちが見聞していることはまさに「現在」そのものである、とおっしゃる。ここまでは了解できます。問題はこの後の記述。「なぜ、我々は過去の出来事を想起できるのでしょうか。現在において「過去を想起する」とはいかなることでしょうか。」この想起という作用は、大脳生理学が明らかにしている記憶のメカニズムでは説明がつかないとこの本では述べています。私が考えるに、想起にはふたつの記憶の結合が必要であると思います。ひとつはその出来事そのもの、それとその出来事に付随した発生日時に関係するなにものか。この両者の記憶素子の神経回路が電気信号で活性化されて、物事が何時起こったかを想起できるのではないかと理解しています。いわゆる認知症というのは、前者の「出来事」そのものを忘れてしまうことです。しかし、この本では、さらにまだ解明されていない「こころ」の作用がないと不十分で、完全な想起の説明には至っていないと述べています。私には、ここのところがどうしても分からなかった。

未来について。

未来についてはどうでしょうか。本の記述では次のように述べています。

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刻々と時を移さず新しいことが起こる。どこかにシナリオがあるのだろうか、なぜそのことが起こるのかとても不思議なことだ。この見解については完全に同意いたします。この本の中で100%同調できたのはこの箇所だけでした。

手の届くような近未来の出来事は現在の延長で似たり寄ったりである、という暗黙の了解のもとに私たちは日々を送っています。しかしそんな保証はどこにあるのか、と本では述べています。素朴な疑問のようですが哲学の大問題なのだそうです。

問題の捉え方を変えて、ある特定の事象は将来どの程度おこりうるか、と問うてみます。近代科学はこれに対して「確率」という手段を導入しました。分かりやすい例は天気予報です。「あす晴れの確率は99%」。この予報の意味するところは、同じ気圧配置が100回あれば99回は晴れ、ということです。私たちは、この予報を見れば雨具の用意はしないでしょう。しかし、100回のうちの明日の第一回目が1%の雨でない、となぜ確信できるのでしょう、とこの本は主張するわけです。つまり、ゼロか百のパーセントでないかぎり、未来の出来事を確定したことにならないわけです。ということは、確率という近代兵器をもってしても先に述べた「不思議」は解消しないまま残されています。地震の起こる確率も同じです。80%といわれた地区の人が5%の地区に引っ越したとたんに大地震に遭遇したということは現に起こっています。飛行機事故の確率がいくら低いといっても、具体的な明日の飛行の安全を保証しているわけではありません。うちの息子はきわめて生起確率の低い(殆どゼロ)事故で亡くなりました。いくらニアリーゼロの確率でも、起こるときは簡単に起きる。あたかもそのシナリオがあらかじめテープに保存されているかのようにです。

ここから先は私個人の妄想ですが、以前述べたきわめて稀な地球環境の実現、たいしかその実現確率は10のマイナス500乗だったと思うのですが、うえの理屈を当てはめれば、起こるときは簡単に起こる。だから、地球環境実現になにもよく分からない「マルチバース」説など持ち出さなくてもすむのではないかという気がします。10億円の宝くじだって、当たるときは簡単に当たるのだから、低確率に怖気づいて買うのをやめる必要はさらさらないわけです。

しかし、以上の考察は生起シナリオというものが無く、世の中の出来事はすべて全くランダムに起こる、と決め付けているわけではありません。自然の出来事、人間各個人の宿命、運命についてじつは決まったシナリオというものがあるのだ、ということだって十分ありえる。現代の私たちにはそれを知る能力が無い、ということが確実なだけです。

・ラムネ玉ひと口ごとに鈴の音

・一昨日いったボランティア先に咲いていた花、教えてください。

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