自販機から俳句

かみさんが病院帰りに伊藤園のほうじ茶を買った。

そうしたら、ペットボトルのラベルに俳句が載っているのを見つけて興味を引かれた。なんだろうと思ったら、伊藤園は毎年20年以上一般から俳句を募集して優秀作品をペットボトルに載せてるのですね。お菓子の景品みたいに、自販機を押すとどんな句が飛び出すのだろういうワクワク感を狙ったなかなか上品な企画です。

ほうじ茶1のラベルの句:中学生の部優秀作「将来は普通に過ごす予定です」奥井(13才)

新俳句と銘打っているだけあって、見ようによっては?という句ですが、良く考えるとなかなか哲学的かもしれません。普通に過ごすということが如何に難しいことか、13才にして既に見抜いているのですから。本心はそれを突き抜けて普通以上に生きていきたい、ということなのでしょう。

季語なし、切れなしで作文の文章に過ぎないが5・7・5のルールは生きている。審査員は誰かと調べたら、なんと現代日本の俳壇の重鎮がずらりと勢ぞろいしている。17文字の枠の中で何でもあり、というのは俳句(もどき)愛好者の裾野を広げるうってつけの方法かもしれない。

ほうじ茶2のラベルの句:高校の部優秀作「真っ白な未来に私は攫われる(さらわれる)」勝又(16才)

これは、アイデア賞だ。真っ白な未来。そして攫われる。とても斬新で魅力的な作品。季語の力に頼らないでのアイデア一本勝負の心意気が清清しいと思います。

伊藤園のペットボトルをどんどん買おう、なんちゃって。

「お~い俳句」という本も出版してしまった。病膏肓に入る。

俳句目線で新聞の見出しを見ると、結構それらしいのに出くわします。

一例。昨日の朝日新聞朝刊から

アレッポがれきの中に咲く笑顔」これはシリアのアレッポの記事に付けられた見出しです。反体制派の占領体制を、ロシアの援軍でアサド政権が解放したという内容だが、本当の解放かどうかは疑わしい、と個人的には思っています。それはともかく、束の間の平安の中での人々の笑顔に焦点を当てた見出しです。

シリアに四季はないから季語はなくてもよい。

新俳句風にするなら、上語にのを補って5文字にする。

アレッポのがれきの中に咲く笑顔

さらに切れを作って伝統俳句の形式にするなら、

アレッポの瓦礫の狭間子の笑顔 recoca

クイズ:上の句で、「切れ」はどこにある?