コレステロール、BMI

近年健診を受けていて、不思議だ不思議と思っていることがあります。それは、総コレステロールという検査値がいつのまにかなくなっていることです。替りにLDL(悪玉)、HDL(善玉)に分解して表示されるようになっています。なぜそうなったか、前回紹介した近藤誠氏の本「健康診断は受けてはいけない」を読んで氷解しました。

私にとっては極めて興味深いことなので、内容をご紹介いたします。

さて、日本でコレステロールを下げる薬が処方されているのは総コレステロールが220以上と指摘された健康な人たちだそうです。この中から四万二千人を被験者として薬を飲ませる試験を行ったところ意外な結果になりました。総コレステロール値が200を切った人ほど、そして値が低くなるほど、死亡率が高くなってしまったのです。「実は、日本の健康人の大規模調査では、総コレステロール値が240~260という、基準値220から見れば異常高値の人の死亡率が最低であることが示されている。」それをわざわざ薬で下げたら死亡率が高くなるのは当然ですね。こうしたことから、基準値の220というのはおかしい、もっと引き上げるべきだという声がまともな研究者から上がりました。学会や製薬会社はこれに困り果てたとのことです。なぜなら、基準値を10引き上げるだけで1000億円以上の減収が予想されるからです。そこで、考え出されたのが総コレステロール値を診断基準から外すことだったのです。その代り考え出されたのがLDLコレステロールHDLコレステロール値。そしてそれらを悪玉、善玉と名付け、悪玉には新たな基準値を設けて、それを越えた人には薬の服用を勧めるという同じパターンです。中性脂肪にも基準値を設けこれらが高い場合を脂質異常と呼ぶことにしました。ところが、健康人の脂質異常者を薬で下げる大規模調査では悪玉コレステロール中性脂肪も、値の高い方が死亡率が低いことが分かったのです。

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健診がいかに金勘定をベースにしているか、実態に驚かされました。

さらにメタボ健診にも問題があります。健康人をメタボと診断し、それに対処したら健康になるというデータが一切ないと書いてあります。BMIが25以上だと肥満と診断されると思いますが、男性で死亡率が低いのは25~27のいわゆるちょいメタボです。

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この図で注目すべきは、BMIが極端に低いケースの死亡率が男女とも高いということです。痩せすぎの方がはるかに危険であることを示しています。ちょいメタボを目指して栄養を取りましょう。