新聞→名古屋学

RECOCAのところでは長年朝日新聞を定期購読(朝刊)している。が、それにさしたる理由はありません。たとえばニュースは熟読しないから新聞などどれでもよい。ニュース以外の記事が他紙に比べて面白い時期があったから惰性で続いているだけである。例えば週末の「Be」などは数年前まで実に内容豊富で面白かったが、数年前ガラッと記事数が減り、ページも減り内容空疎になって、結果、RECOCA思うに新聞などどれでもよいということになっている。しかし、購読料金を払っているから一応いい悪い(あるいは好き嫌い)をたまには言いたい。

そこで今朝(29日・日曜)の朝刊を見て驚いた。いったいこれは何でしょう。何処の国の新聞?と言いたいような一面トップ記事。おまけに裏面(2面)に関連記事が一面ぶち抜きで掲載されている。内容は「エチオピアに中国式援助」、要するに中国がアフリカに力を入れ始めた経済援助についてである。日本に重大影響を及ぼす政治的大事件でもないこんなべた記事が一応日本国の代表新聞たる一面トップに相応しいだろうか・・・。そう思うのならば来月から別の新聞に鞍替えすればよいのだが。競争相手は読売、毎日、産経などいくらもある。

さて、またまた突然で恐縮ですが、ここから「名古屋学」岩中詳史・経営書院へ急転換します。名古屋人の大多数は、仮に今回述べたRECOCA的状況になっても、そんな浮ついた心で新聞を換えるなんてことは決してしないようです。その元の新聞とは「中日新聞」。名古屋人の大多数、実に75%が中日新聞の購読者である。これは大変なこと、発行部数世界一の読売も知性の朝日もこれには全く歯が立たない。朝日や読売はわずかに東京からの単身赴任者が読むのみといって差し支えない。「きんのうの新聞に出とったがや」の新聞とは百%中日新聞のことなのである。名古屋の地元のごくローカルな話題にかけては、中日新聞のフォローはほぼ万全であり、地元住民にちょっとでも話題になれば、すぐに紙面に載ると思って間違いがない。

なぜそれほど土着の話題に拘るかというと、多くの住民が先祖伝来の名古屋住民だからである。だから、地元のニュース、話題がファーストということになる。別の言葉でいえば世間が狭いともいえるが。実際、成人しても市外、県外移住者が極端に少ないのも特徴である。第一県外の大学への進学率が少ない。さらに、いったん県外へ出てもUターンで結局戻ってくる例が少なくない。

名古屋で「メイダイ」といえば無条件に名大(名古屋大学)のこと、決して「明大」ではない。ワードの文字変換順序と全く逆なのである。

それほどまでに地元を愛する理由は、地元が何事につけ裕福で暮らしやすいからである。だから外で冒険などする必要がない。これは、徳川の昔からの伝統。特に宗春の時代には栄えた。何しろ年貢が安かったのも先祖が裕福になった一因だろう。(普通5割のところ、尾張ではわずか3割)現在でも気候は穏やか(寒暖差は大きいが飢饉のような天気はないということ。)木曽川水系の水道も大都市一番の味といわれている。濃尾平野の米の生産も多い。1991年、日本中が記録的凶作に見舞われた時も尾張地方では平年と変わらなかった。それに加えて、人々が名古屋を離れたがらない大事な理由がある。それはとにかく暮らしやすいからである。多少都会的文化が遅れていようとも、有名な文化的公演や絵画展が名古屋を素通りしようとも、他県から不人気ナンバーワンなどと蔑まれようと、それはその一時は悔しい思いかもしれないが、暮らしやすさには代えられない。つまり「文化」では食えないことをよく分かっているのである。どうして暮らしやすいか。ここから先はRECOCAは知らなかったことなどで本を引用する。

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大都市の中では物価が非常に安い。とくに住宅費の安さは信じられないほどである。土地代が安いから家賃も安い。土地もまだまだ余っている。そこでこんな話がある。かつて中日の牛島投手が落合選手とのトレードで東京へ移り住んだ時のお話。牛島選手は名古屋の住宅費レベルに慣れていたので、移住先の東京での家賃を聞いてびっくり仰天したとのこと。買おうとした東京のマンションは7000万(20年以上前)。「こんなの名古屋なら2000万で買えるがや」といったとか言わなかったとか。逆に落合選手は名古屋での安さに驚いたとか。名古屋中央から近い豪華一戸建て家賃が18万円だった。落合さん曰く、東京だったら100万円でも借りられるかどうか・・。そして単に安いだけでなく住宅そのものが広い。東京、大阪、京都、横浜、札幌、北九州などと比べて断然広い。

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長くなるので今回はこの辺にしますが、物価が安いとか居住に恵まれているとか、RECOCAは全く知らなかった。そしてこれは20年前の記述なので、現在も同じかどうかの責任は持てないのでご容赦ください。――つづくーーー