通夜

近所の辛夷。数日で5分咲きになった。

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さて昨夜、知多半島の田舎で幼少から大学まで同期だった友人のお通夜に行ってきた。目黒の都内有数の斎場のことだけあって、6家の通夜が同時進行していたので、そそっかしい人は間違って参列するかもしれない。以前だと、個人の経歴などその場で語られないから、焼香終わって引き上げるまで間違ったことに気づかないなんて漫画みたいなことが起こるかも知れないが、最近はそんなことはなさそうである。今回も、導師到着前の時間に会場アナウンスで個人の略歴が語られる演出がなされていた。この方式が広まってきたようで、結構なことだと思う。

 次に感銘を受けたのは遺影。横顔の遺影というのを初めて拝見した。しかも明るいグリーンの若葉を背景に撮影したような演出で、おそらくモンタージュだと思うが、大手の斎場だとこういう細かいサービスも提供してくれるのかもしれない。横向きの遺影、いいですよ。普段からそれぞれ自分の顔の向きについて、どの角度が好ましいか研究して、これぞというの保管しておくのもいいかもしれない。若い人だって、今夜眠って明朝確実に目覚めている保証なんてどこにもないから。

次に感銘を受けたのは、二人の導師の読経。テノールバリトンの声明である。しかも焼香のBGMとして全然うるさくない自然な音楽的発声である。テノールが切れ目なく継続して、その間にバリトンが合の手を入れる。参列者が異常に多いからたっぷり40分ちかくかかったと思うが声とか体力の消耗、大丈夫かと気になったほどだ。日頃から訓練を積んでいるのだろうなと思った。

これを見ていてひらめいたのだが、高性能のスピーカーであれば読経などライブでなくてもいいんではないかと感じた。どうせお経の中身など故人を含め誰もわからないのだから。名曲喫茶にあるスピーカーを使えばすごい臨場感のあるお経が聞けると思う。

最後に故人の残した業績について。

多分、日本全国津々浦浦の皆さんは全員彼の恩恵を受けていると思いますよ。日本で初めて携帯電話のプロトタイプを開発したエンジニアです。

30年位前、知多の田舎で同期会をすると、そのころはまだショルダーバックくらいの大きさだった移動電話を自慢そうに持ち歩いて、我々の目の前で出席していない同級生に次々電話して悦に入っていた姿が目に浮かびます。どこまで小型化できるかが勝負と言っていた。後日手のひらサイズにしろという至上命令を受けて四苦八苦しているという噂をきいていたが、ここまで進化するとは。燃焼しつくした今生であったと思う。