コスタリカが有名ですよね。実は軍隊のない国はコスタリカだけではなく世界に27か国もあり、決して稀な存在ではないということを知ってびっくりしました。しかもその数は増える傾向にあるということで心強く思いました。⇒「軍隊のない国家」前田朗・日本評論社。次の図はその国の一覧です。世界地図は北極から見下ろした図です。
いちばん数が多いのは島嶼の国々。
モーリシャス、モルディブィブ、ミクロネシア、パラオ、ソロモン、ナウル、マーシャル諸島、ヴァヌアツ、キリハス、トゥヴァル、サモア、クック、ニウエ
次に南米
ドミニカ、セントクリストファー・ネヴィス、セントルシア、セントヴィンセント・クレナンディス、グレナア、パナマ、コスタリカ
ヨーロッパ
ルクセンブルグ、ヴァチカン、サンマリノ、モナコ、リヒテンシュタイン、アンドラ、アイスランド
以上27か国。この著者は日本を入れていません。自衛隊を実質軍隊とみなしているからでしょうが、これは議論を呼ぶところ。アジアには一国もないというのは興味あるところです。一覧を見てすぐ分かるのはずれも極めて小国で、地政学的にも穏やかな環境の国ばかりであることです。本当は米国、ロシア、中国などが軍備放棄してくれないと平和には直結しないところが残念です。しかし、現在の27か国という数字を増やして、50,100にでもすれば世界は変わるはずというのが著者の考えで、そのために九条平和憲法を堅持して世界に広めるのが今後の平和運動の根幹だと強く主張されています。それは誠に正論だと思いますが、問題は時間がかかることです。その間厳しい地政学的環境の中で日本は持ちこたえられるだろうかの疑念が生じます。この点に関して著者は、軍隊の保有が侵略の抑止力にはならないと述べています。しかしこれはちょっと一方的な見方ではないかと感じました。逆方向からの検討、つまり、では軍隊を保有していなければ侵略されないのかという問いにはどうお答えになるのでしょう。この点に関する直接の議論はないですが、私は答えのヒントをこの本の中から見つけました。それはジュネーブ協定のなかの一文です。非武装平和ゾーンという概念があるそうです。これはどいういうことかというと、戦力放棄した国なり都市がここは「非武装平和ゾーン」ですよと宣言したら、そこを攻撃侵略してはいけないという条文です。攻撃すると戦争犯罪とみなされます。ですから、自衛隊も何もかもおっぽり出して「非武装平和ゾーン」を宣言してしまえばいいわけです。
しかし本当にこの条文が侵略の抑止力になるのか、過去の経験を鑑みるになんか絵空事のようにみえます。戦勝国には決して戦争犯罪は適用されませんから。
ということで、日本国憲法の取り扱いについて正解は藪の中。国民個人の主義主張にかかっている。