「わたしはよろこんで歳をとりたい」という本の紹介

その前に蛇足ですが、戦争のスタイル、ドローンの実用化で新しい時代に入りましたね。イランの高官が米軍のドローン攻撃で殺害されました。キーワードは「ピンポイント攻撃」。核ミサイルによる大規模破壊に頼らなくても、狙ったターゲットを確実に撃破できれば最小の労力で戦果が得られるわけで、第2次大戦末期やベトナム戦争で米軍がやったような絨毯爆撃(戦争犯罪)はもはや不要になります。

ただし、簡単に誰でも操作できるということは、テロリストによる利用も増えることを覚悟しなければなりません。日本でいえば各地に散らばっている原発が最も危険なターゲットではないでしょうか。ゴーン氏がいとも簡単に出国できたということは、入国も簡単にすり抜けられるのではないかということです。ゴーン事件が恐ろしいのは、そのことをテロリストはじめ世界に知らしめてしまったことです

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さて、表題に示した示した本は、最近94歳で亡くなったドイツの神学者、牧師の書かれた本の翻訳です。日本人は何に対しても生真面目で自分の最期ですら例外ではありません。この本を読むともっと気楽に、年古る大木のようにどっしりと生きていいんだという気になるのではないでしょうか。江戸時代のご隠居さんをイメージしましょう。年取って最期を迎えるまで、終活にあくせくしたり、ボランティアをして人の役に立とうとしなくていい・・。天下のキリスト教の牧師さんがおっしゃることですから一応真摯に耳を傾けても損はないと思って読みました。たかだか50ページ、1200円ですから気が向いたらどうぞ。

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内容を少し引用しておきます。

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「年を取ると感謝の言葉こそが決め手となる。何に感謝するのかといえば、まず長生きさせてもらったことだ。若い時の友人たちの多くは戦争の犠牲者になった。それなのに私は何十年も生かされた。

 

愛した人たちや人生の道連れとんってくれた先生や同僚たちに感謝しなければならない。あの木々のもとで過ごした遥かな日々から私をつくりあげ働かせてもくれた経験の数々にも感謝しなければならない。

 

長い年月のことがついこの前のことのように思い出される。だから最近のことが思い出せなかったとしても それを何で嘆く必要があろう。

 

もう自分がどんなに役に立つだとか、まだ何ができるかなどそれを実証する必要などさらさらない。それよりも大切なのはかつての出会いや経験を思い出させるごくごく小さなものたちだ。壁にかかった絵や小石の一つ、押し花、一枚の写真、そして何よりも手紙の数々。これは人生の春と夏の証だ。」

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「どんなに良い日でもやがて夜は来る。足が言うことを聞かない。そうなれば正直に言ってよい。もう駄目だから助けてくださいと。

一日が長くてそれが苦労ならその時こそは一息ついて静かにそのままでいること。ちょうど水の流れのほとりに立つ木のように。

私たちは何も勇者である必要はない。嘆いて結構。ただ知っておいていいのは絶望するようなことは決してないということ。そしてさらに夕暮れになっても心臓の鼓動が続いている限り(中略)やさしさと見守りの手を求める。私たち老いたものはそれを恥ずかしいと思う必要はない。」

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「私たちが見るものに気を付けよう。暗いところに目を向けたがる人は至る所に影を見てついには暗がり病になってしまう。

これにたいして明るさに目を向ける人は心に癒しの力の道筋が開け、人を肯定し愛するようになる。光に目を向ける人に祝福あれ。」

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RECOCAが最も教えられたのは、最期のとき残されるものに伝える言葉です。

「お幸せにね~。」という祝福の言葉だというのです。

「有難う~。」という言葉を最後に伝えて世を去って行く人のことはよく聞きます。これに追加してこの祝福の言葉を伝えたら、残された者たちはどんなに希望をもって生きられることでしょう。

「これには祖先たちが語り伝えた良い言葉がある。彼らは別れを告げるときにこういったものだ。「お幸せにね」というという祝福の言葉だ。祝福にはいよいよ成長して繁栄してほしいという実りを促す力がある。(中略)

こうして人生は愛のうちに終わるが、最も素晴らしいことがこの去って行くものには与えられる。

それは、残された者たちに祝福を与える人となれることだ。」