米国とイラン

キリスト教に「右の頬を打たれたら左の頬を出せ」という教えがあるが、イスラムでは「右の頬を叩かれたら左の頬をたたき返せ」というのがあるらしい。一方で「穴を掘るな自ら落ちる」という思慮深いのもあるそうだ。双方が自分に都合の良い格言教えを選んで行動している。だから宗教や哲学では紛争は収まらない。
トランプ大統領の方針は一貫している。自国第一主義と現在は特に11月の大統領再選。それしか頭にないみたいだ。だから北朝鮮が日本に届くミサイルを撃ってもなしのつぶてで日米同盟の戦略的思考は霞んでいるし、年末のイランによる米国大使館襲撃(侵入?)に対してはイラン司令官殺害という過剰とも思える反応を示した。この時期に於けるイランの米国大使館襲撃はトランプ大統領にとっては大統領再選を妨害するあってはならない行為なのだ。このことは評論家木村太郎氏が詳しく解説されている。同氏によれば、大使館襲撃はトランプ大統領の虎の尾を踏んだに等しい行為と表現している。これは40年前カーター大統領が、イランの米国大使館侵入人質事件解決に追われて大統領選に歴史的大敗を喫したことに端を発している。絶対にその二の舞は演じないし許さんぞという強いメッセージが司令官暗殺という「勇み足」になってしまったのである。こうしてみると外からは支離滅裂に見えても彼の中ではしっかり脈絡のある行為と言えそうだ。
引き潮の米国と上げ潮の中国。トランプさんが再選すればこの世界情勢はさらに加速するかもしれない。安倍首相はそれを見越してやや二股外交に傾きつつある。しかし、中国は非常に危険な国であるから今までのようにおっとり構えた外交ではいいようにやられてしまうということを国や国民はしっかり考えておく必要があるだろう。

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