音楽教教室に著作権協会(JASRAC)の魔の手拡大

以前から興味を持ってみている、全国の音楽教室著作権協会の関る裁判。このほど東京地裁音楽教室側の敗訴を言い渡したとの記事が出ていた。

どういう争いかというと、音楽教室での指導の時に教師や生徒が楽曲を演奏する際、著作権(の中に含まれる演奏権)料を支払う必要があるか、ないのかの争いである。

著作権協会の言い分は、「音楽教室での指導や練習時の演奏も公衆に直接聞かせるための演奏に当たる」から音楽教室は相当の著作権料を支払う義務がある、というものである。音楽教室側はこれには真っ向から異を唱え、教室内には生徒しかおらずいわゆる公衆は存在しないし、演奏目的も指導に限られるから著作権は教室内には及ばない、と主張している。

我々一般大衆からみれば明らかに音楽教室側に分があると思うだろう。自分もそう確信していた。ところがプロ裁判官は違った。生徒は入れ替わるから不特定多数の公衆に相当すると判断。したがって著作権協会側の勝訴とした。しかし、この理屈はどうなんだろう。当然音楽教室側は控訴した。

似たような理屈はカラオケの著作権裁判でもあったように思う。きっかけはスナックでのカラオケだった。スナックでのカラオケは他の客に聞かせる目的があるから著作権料の発生は理解できる。ところが著作権協会側はこの権利をカラオケボックスにも拡張して通してしまった。こういう実績があるから今回の音楽教室への演奏権の拡張にも自信を持っているのだと思う。現在対象としているのはヤマハ、山野など大手音楽教室だがやがて個人の小規模教室にも網をかけてくるであろう。さらに拡大して音大などには及ばないのだろうか、小・中・高の音楽の授業ではどうか、など疑問が浮かんでくる。

ユーチューブへの演奏公開は演奏権許諾の侵害にならないか、という点については「無料公開」なのでその心配はない。ただし伴奏CD使用している場合は注意を要する。使用については厳密にはCD発行者の許可が必要になる。しかし、購入CDであればその発行元をユーチューブに明記することで権利侵害は免れると解釈している。

マチュアのコンサート、発表会でも油断しないほうが良いといわれている。カラオケの発表会は目を付けられやすいようだ。実際にカラオケの伴奏曲についての著作権許諾が証明できなくて覆面巡回著作権協会員に見つかって(要するに購入したオリジナル媒体を示せなかった)著作権料を請求された友人がいる。その話を聞いてから自分も公民館等で伴奏コピーを使う時は必ずそのオリジナルを携行するようにしている。それから気を付けたほうが良いのは舞台での参照楽譜。アンサンブルや合唱の時、全員が大抵楽譜のコピーを使っていると思うが厳密にいうと完全にアウトである。ただし、入場無料の場合は許されるか?微妙なところ。曲の演奏自体については、その場合演奏権侵害には当たらない。