それは、感染者数の比率が低い集団で検査を行ったときです。その集団で陽性と判定された場合、それが擬陽性である確率が極めて高いからです。そのことを指摘した興味深い記事を見つけました。素人にもわかりやすく書かれているので、参考のため計算の過程を紹介しておきます。この計算から言えることは、やみくも全員PCR検査には擬陽性の比率が高くなって、問題があるということです。
①例として5万人のなかに感染者が10人しかいない場合(感染者率0.02%)を考えます。
計算の前提はPCR検査の精度の数字です。御存じのように精度は100%ではありません。精度を感度と特異度と呼ぶ数字で表します。感度とは⇒感染している人をちゃんと陽性と判定する確率。特異度とは⇒非感染者をちゃんと陰性と判定する確率です。一般にPCR検査では、感度=70%、特異度=99.9%と言われているのでこの数字を使います。
以下は、記事に出ている計算過程の数字をそのまま紹介します。
①の集団で陽性と判定される人数を数えます。まず感染者集団から。感染者10人で感度70%なので、陽性と言われる人は7人。次に非感染者集団49990人のうち何人が陽性と出るかを考えます。特異度99.9%なので、0.1%を誤って陽性判定してしまいます。
すなわち、49990×0.001=49.99人が擬陽性。
集団全体では7+49.99=56.99人が陽性判定を受けます。ところが本物の陽性者数は7人ですから、正解率は7÷56.99=0.12。
つまり、この集団で陽性判定受けた人が真の感染者である確率はわずか12%に過ぎないことを意味しています。この人は感染者でもないのに隔離とか非常な不利益を受けるでしょう。だから、PCR検査は濃厚接触者集団とか感染可能性の高い集団で行うべきだというのが記事の骨子です。
ちなみに、感染者数がもっと多い集団では数字がどうなるか、記事に倣って私が独断と偏見で計算してみました。確かに感染者数が増えるにつれ、正解率が上がっていきます。(独断と偏見の計算なので数字は違っているかも)
②5万人の集団で感染者数100人の場合の正解率⇒58.3%
③感染者数1000人⇒93.4%
④感染者数10000人⇒99.4%
ご自分でも計算してみてください。ちなみにこの問題は医師の国家試験に必ず出る問題だそうです。
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