新蕎麦(走り蕎麦)

秋。もの思う秋。ではなくて食欲の秋です。今回の話は蕎麦。今まで全く気にしませんでしたが、秋は新蕎麦の季節です。歳時記を見ると新蕎麦は俳句の秋の季語になっており、俗に「走り蕎麦」とも言います。多分、蕎麦の出始め⇒はしり、の意味だと思います。

歳時記には次のような説明の記述がありました。

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新蕎麦(走り蕎麦)

蕎麦は生育期間が2,3か月と短いので、収穫時期に応じて春蕎麦、秋蕎麦と呼ばれる。夏に種をまく秋蕎麦は11月ころ成熟するが、まだ熟しきらない初秋の頃刈り取って製粉し、これで打った蕎麦を「新蕎麦」という。まさに蕎麦の走りである。

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先日、長野の親戚が新蕎麦を送ってくれました。生産地は山形で、そこの有名な蕎麦屋さんから発送された新蕎麦、客への発送今季第一号だそうですから、期待してすぐに試食。

能書きをみると、面白い食べ方が書いてありました。

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名古屋のうなぎのひつまぶしのように3種類の食し方が楽しめるとのこと。最初はそば通のように何もつけずに香の風味を味わう。私は別にコロナで鼻感覚が損なわれているわけではないのですが、昔からこの方法ではほとんど何も感じません。今回の新蕎麦でも同じ。ただ、したり顔で通の如くふるまうだけです。通は本当に風味が分かるのだろうか。なんて思ったりして。👈ゲスの勘繰りですかね。次の食べ方が面白い。これは初めてでした。塩を振って食べる!しかも庄内浜産の「藻塩」という塩が添付してあって、これを使えという。

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これは美味しかったです。ただし、本当に一箸、二箸程度に留めないと塩の摂りすぎになります。最後に定番、つゆにつけて食べます。この時大事なのは、通の如くに箸で持ち上げた蕎麦の下三分の一位だけつゆにつけてすすること。この時だけは絶対に通の真似をすること。そうすると、不思議なことに口の中で甘みが広がります。今までは天邪鬼精神のせいで、こういう通の作法は馬鹿にして、蕎麦つゆにどっぷりつけていましたが、今回はせっかくの特別な蕎麦なので通の精神に従ってみました。不思議ですね~。三分の一つゆ付け方式でないと甘みが感じられませんでした。これは新蕎麦でなくて普通の古蕎麦でも同じかは、普段通の食し方をしたことが無いので分かりません。

とにかくどうでもいいけど旨かった。敬意を表して一句残しておきます。

  藻塩振り一箸甘き走り蕎麦

                 RECOCA