「世間」の怖さ

コロナではありません。

9日の天声人語から。1980年代大阪で食品会社を標的とした企業脅迫事件がありました。その脅迫の声に幼い少年の声が使われていたので、その声に似ているということで警察に調べられました。その方法が手が込んでいる。一人の小学生が下校中友達数人が変装した警察官に呼び止められ、「自分は大学で音声の研究をしているので協力してくれないか。」といわれて小説の一節を読まされ声を録音されました。結果は脅迫テープの声色と無関係だったのですが、そのことが狭い町内に知れ渡り、犯人一味ではという疑惑の目が付いて回るようになったというのです。そのことによるいじめ差別で登校できなくなり、10代で海外へ飛び出してしまいました。現在は関西で自分の会社を経営しているとのことです。その辺のいきさつが映画「罪の声」となって公開中とのことです。

自分の行為とは無関係に降ってわいたような事柄が自分の身に突き刺さっていじめ差別の対象になる。いつものパターンです。この人の場合自殺を考えるのでなく、外へ飛び出したのは大正解でした。日本の社会では、いったん「世間」という闇地獄に捕縛され敵に回すともはや個人で戦うことは難しいと思われます。うまく隠れるか外へ飛び出すか、この少年のように海外への飛躍という選択肢を幼いうちから培っておくことはとても大事なことだと思いました。聞くところによると最近は内向き志向の若者が多いとか。日本の将来性を考えるとそれはとても危険。海外でも生きられる技術を磨いておくべきです。