緊急事態宣言は解除されたが反省事項は

 緊急事態宣言解除に際しての菅総理のアナウンスで、病床確保が不十分であったことを認め謝罪したと新聞に出ていましたが、入院待機者のコロナ死者が1月に急激に増えたということなので謝罪は当然でしょうね。

なぜ確保した病床数が増えなかったかは、厚労省の勝手な思い込みと、政策決定がバラバラという例のシステム欠陥のなせるわざだったようです。勝手な思い込みとは、陽性者数がある水準に増えれば強力な自粛要請が発令されてそれ以上の陽性者急増はないはずという、いわばご都合主義で確保すべき病床数を見積もっていたらしいことです。ところが実際には発令がタイミングよく出なくて、さらに陽性者が見積もり以上に増えてしまったということです。つまり、病床確保部門の思惑が政策決定部署と共有されていなかったという政治官僚システムの欠陥が露呈したということです。もうどうしようもないという日本の事例が一つ付け加わっただけのお粗末でした。

具体的にどの県で陽性者が病床数を上回ったかの表が出ていましたが、全県で上回っているわけでなく部分的です。たとえば、北海道、都周辺(都、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川)、中部(岐阜、静岡、愛知)、関西(京都、大阪、兵庫)、西日本(岡山、広島)、九州(福岡、長崎、熊本、宮崎)沖縄。ですから、県内でひっ迫すれば周辺の余裕のある県の病床を融通しあえばもっと楽になったのではないでしょうか。少なくとも死者急増なんてことは避けられたのでは? 都道府県の県境に見えない壁が張り巡らされているかのようです。恰も江戸時代の大名領地のように。県境を越えたコロナ患者は受け入れないという暗黙の了解事項があるのでしょうか。これは隣の大名領地で飢饉の餓死者が増えても他人事として助力しない江戸時代の地方自治と同じですね。