突然の大金持ちも春の鬱?

宝くじにでも当たったのならすっきり万歳できるだろうけど、この場合はどうだろう。4月8日の事件。町役場から突然4630万円が自分の口座に入金された。勿論役場のミスによる誤送金である。入金口座の本人は驚いたと思うが、返却に応じないことの刑事罰の軽重と棚ぼたの金額を素早く天秤にかけ、断固返却しないことに決めたようだ。山口県の人口3000人のコンビニ一軒もない自然豊かな農村のある世帯が巻き込まれた大事件である。

ひねくれ者の私はこのニュースに接して、普段頭の片隅にあるある考えがまた頭をもたげた。それは詐欺師の思想である。詐欺師は逮捕され起訴投獄されることに対して何の恐れや憂いもなくせっせと詐欺行為を重ねるのが常である。それはなぜか。詐欺行為で懐に入った宝物は刑事罰によっては返却の義務が無いからである。一方、返却義務を伴う民事で目的を達するのは一般に非常に困難である。両者を考え合わせると、暫時刑務所暮らしを我慢すれば、詐欺で儲けた宝は出所後は晴れて自分のものとして自由に権利行使できる。世に詐欺師が減らない理由はこれに違いないとずっと前から思っているのだが、この考えは正しいのだろうか。それとも別に詐欺師が減らない理由があるのだろうか。

さて、山口県の話に戻る。事件に巻き込まれた町民はもちろん詐欺師とは無関係の善良無比の一般町民である。それが5千万近くの見たこともないゼロの数に一時目がくらんだのではないかな。こんな田舎でこんな不労所得にありついたとなると近所付き合いは今後犠牲になると覚悟した方がよい。それでも意志を通す覚悟があるか、詐欺師の思想を振りかざしてあまり我を張らないほうが長い目で見た場合身のためではないか、他人事ながらちょっと気になる。

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