私は絶対反対です。
岸田総理はコロナで静養中すごいことを言い出しました。福島原発事故以来10余年のエネルギー基本政策を転換して原発増強の方針を表明しました。
短期的には原発は確かにメリットがあります。火力に比べてCO2の排出が少ない、電気料金に跳ね返るコストが安い。しかし長期的に見るなら、原発拡大は後世への最悪地獄の置き土産です。岸田さんはじめ経済界のお頭のよい方々は当然そんなことは承知の上でしょう。自分の生存中の利益しか眼中にないからこんな決定ができるのだと思わざるを得ません。
まずコストのことですが、発電所の立地調査を含めたリードタイムや発電所立地自治体への長年に渡る巨額の補助金等、廃炉費用、さらには今回のような福島事故に対する賠償金や事故処理費を考慮したら決して安価な電源とは言えない気がします。それに二酸化炭素排出が少なくて環境にやさしいといいますが、いったん福島のような事故が起こった時甚大な環境汚染の発生で環境へのやさしさは帳消しになります。つまりリスクが大きすぎるのです。リスクの大きさを考えれば、原発なしによる多少の電力不足は我慢すべきです。日本列島は災害列島です。特に地震・津波。中でも津波は原発にとって天敵中の天敵です。なぜなら日本の原発は全て海岸に立地しているからです。いつ発生してもおかしくないといわれている南海、東南海、東海地震。30m級の津波が予想されています。あらゆる原発に対して、あらゆる想定外の事項に対処できる知恵が福島後の10年間に備わったとは到底思えません。
これだけでも原発もうやめようと思えるのに、超厄介で根本的な問題がさらに残っています。それは運転中に排出され続ける放射性廃棄物です。これは人体に極めて有害ですから、例えば地下深い地層に埋設する必要があります。しかも何万、何十万年の管理が必要です。そんな、人類の生存も保証できない先の管理のことなど誰が責任を持てるですか。これは、世界何百機と存在する原発すべてに言えることですから、しばらくすれば地球の地下数百mは全地球的に放射能汚染物で汚染されたの地層ということになりかねません。かりにポスト人類の知生体がいたとして、彼らがそんな地層に遭遇したら何と思うでしょうね。
恐ろしいことに、日本列島は世界一の不安定な地層の上に存立しています。地下の岩盤プレートの三重会合点に位置しているからです。日本国民は世界有数の地政学的不安定さと、世界一地層の不安定の二重苦にさいなまれる稀有な環境のもとに生きる民族なのです。廃棄物は少なくとも10万年間安定した地下深部の地層に保管する必要がありますが、そんなことを保証できる安定した地層は日本に存在しません。そんなことは地質学者の常識だと思います。
最後にもうひとつ、テロのリスクと戦争に巻き込まれた時のリスクも馬鹿にできません。戦時の原発リスクについては現在ウクライナにそのお手本があります。
考えれば考えるほど、原発は悪魔の技術だと心底思えてなりません。