メタバース(2)

驚いたことに、既に世界で多くのメタバースプラットフォームが構築されており、非常に多くの利用者がアバター(自分の分身)となって活動しています。ただ現状では一般向けしてはいません。理由は多分ゴーグルを含めプラットフォームが完全でない事が挙げられます。その原因は十分な臨場感を得るのにまだパソコン機能が発展途上であることと、高機能のパソコンが高価すぎることだ思います。しかしこれは日進月歩ですから10年もすれば解決するでしょう。

それでも昨日紹介した書籍メタバース進化論を見ると、私たち凡人からは考えられないような世界が既に展開されています。メタバースにおけるアバター(分身)の活動は大きく2種類に分類されるように感じました。一つはアバター同士の交流に主眼を置くもので、これが本来の目指す方向のようです。交流の仕方についても二つに分かれ、一つは会話や言語主体の交流、他はアバター同士の接触に発展するものです。この辺は現実世界の人の交流と同じです。接触とはアバターの身体的触れ合い(手を握る、肩を抱く、抱擁する等)を意味します。驚くことにアンケートによると性的接触体験も少なからず存在するとのこと。仮想空間における体感は今のところ視覚聴覚のみで触覚はないですから、これらの触れ合いで生ずる情は想像力の産物ということになります。

さて、もうひとつのメタバースの活動は、互いの交流でなく自らの臨場感を目指すものです。私の興味を強く引いたのはこちらのほうです。先の本、メタバース進化論ではあまり論じてないのでこちらは本筋ではないのかもしれませんが、ビジネスチャンスは無限にあると感じました。現在でも映画館の三次元映像で結構な臨場感を得有られますよね。その場合現場は映像の中なのに視線の元(観客)は場外にあります。それに対し、メタバースではお客もアバターとして映像の中に入り込み、アバターの五感で感じるのです。例えば遠隔地の旅行や登山を考えてみてください。旅行代理店に行くと旅行パンフレットが無数に並んでいます。これが全てメタバースプラットフォームのパンフレットだったらどうでしょう。楽しいと思いませんか。メリットはどこに行くにも料金は同じということ。南極旅行も月、火星旅行も北海道、九州、エベレスト登山もほとんど同じ旅行代金になるでしょう。身体不自由寝たきりの方、私のようにリアル世界の旅行嫌いの者にも大きな恩恵をもたらすでしょう。コンサートなどの音楽体験も魅力的な分野です。現在でもコロナ禍でウエブコンサートがはやりになってますが、あくまでも聴衆は会場の外からの参加です。お正月のニューイヤーコンサートをウイーンの会場に座って聞く感覚が味わえたら素敵だと思いませんか。しかもリアル旅行に比べれば超格安になります。それから冠婚葬祭。遠隔地への参加は壮年でも大変です。ましてや年よりは。今日の朝日新聞に葬儀の形態としてメタバースの可能性を論じた記事が載っていました。

更に災害時のサバイバル技術の習得を仮想空間での試行錯誤で得られるのではないかと思いました。地震、風水害、火事などの時自分がどんな環境に居るかでサバイバルの方法は違ってきます。例えば街中、ビルの高層階、沿岸部、など場所に合わせて仮想の災害を起こしてその中に飛び込み、こうすれば生き残る、こうすれば死ぬというような試行錯誤を繰り返すのです。仮想空間での実地体験はリアルワールドでの災害のとき必ず生きると思います。

次のようなことはどうでしょうか。これは最初に強く思いついたことです。それは今街頭で廃れ行く本屋です。それを東京都心で見られるメガ(巨大)書店の形で仮想空間に再現することです。私が地方都市に行って強く感じたのはまともな本屋さんが極めて少ないことです。これは都内でも同じで、都心から離れるほど極端に少なくなります。海外でも同じ。カナダのカルガリー市に3年ほど住みましたが本屋と言えば図書館でした。例えばジュンク堂本店みたいにビル9階丸ごと書店といったような環境をメタバースに構築して世界のどこに居てもアクセスして実際に本を手に取れるようになれば文化貢献にも多大な貢献になると思います。それと本の倉庫である国会図書館。ここは何でもありますが敷居が高いし、借り出すのが大変。それをPCからちょこっと入ってパラパラとめくれるようになるだけでも恩恵を被る人は大勢いると思います。