高齢者の問題

晩秋の落合川

晩秋の川辺にひとつ空ベンチ

晩秋の川面に映るスマホかな

一人吹くオカリナ沁みて夜半の秋

高齢者の問題①

車の運転の問題。また大きな事故が起こった。100歳近くでもまだ車を手放さないことには驚きだが,ご本人の気持ちは分かる。この方の場合は福島県。多分自家用車がないと外出がすごく不便なのなのではないか。私は58歳から63歳まで新潟県北部の沿岸の町で暮らしたことがある。赴任して第一番の感想は徒歩が極めて不便、危険なことだった。これは心底衝撃だった。冬場は勿論降雪積雪で危険だが、そうではない陽気のよい季節でも歩いている人はまず見ない。危険なのである。なぜかというと、道路に車道歩道の区別がない。それに街灯もないから日が落ちれば漆黒の闇。なので自分の車で移動する以外は徒歩も自転車も極めて危険なのである。今住んでいる東京の東久留米市も、都の中では辺境の田舎である。しかし歩道の区別や整備はきちんとしているし、高齢者には歩道でのサイクリンも許可されている。公共のバスの便もそこそこある。だから車を手放すのはその気になれば簡単。しかし、地方は別であることを新潟赴任で骨身に染みて理解した。これを解決せぬ限り、百歳になっても自家用車とはけしからんとは、私は決して言えないのである。

去年と今年の超過死亡者が異常に多いことはご存じのことと思うが、この理由についての感染研究所の見解は、高齢者の過度の自粛生活による運動不足というものである。車の乗ったからと言って運動不足は解消されないが、引きこもりは解消される。高齢者から車を取り上げたらますます超過死亡数が増えるのではないかと危惧する。高齢者の車はブレーキに工夫を加えたサポートカーに限定するなど運転禁止の前にやることはあると思う。それと、運転する高齢者の側も体調の少しでも悪いときは運転しないとか、知らない道は運転しないとか細心の注意が必要なことは勿論である。

www3.nhk.or.jp

②介護殺人

最近老々介護途上の介護殺人の報道をよく見かける。これは痛ましいニュースだ。

gunosy.com

上記2件は最近起きた事件。いずれも69歳と66歳の息子が100歳近くの親に仕掛けた事件である。大体において高齢の男性は怒りっぽくなって、何事にもこらえ性がなくなるのが常だから介護などは最も性に合わない役割のはずである。それを我慢してやるのだから、やってる方を見聞きするだけで頭が下がる思いがする。しかし、それがいつまで続けられるかが問題。男性の性質(さが)として長期間は困難であることを前提として、手厚い公的サポートの充実が求められる。それなのに、国はサポート充実とは逆方向に介護保険の改定を行おうとしている。

さらに、自民党憲法の改訂条文案のなかに家族の絆重視の項目を付加しようとしている。これは介護を家族に押し付けるための大義名分であるように見える。それならそれで公的サポートの充実を同時に明確にする条文がないと片手落ちだ。そうでないと単に社会福祉予算削減への深慮遠謀条文に見える。