認知症について(2)4年前のDVD続き

認知症のケア

◎ユマニチュード法

認知症になると記憶力の低下だけではなく、攻撃的な言動や暴力的行動で人とのコミュニケーションが難しくなり、どう接したらよいか介護者が困ることが日常的に起こります。

この番組(4年前のNHK番組のDVD)ではフランスから来日した介護歴35年のベテラン介護士イヴ・ジネストさんのグループが開発した「ユマニチュード」という方法が認知症患者をリラックスさせるのに絶大な効果を発揮することを示していました。ユマニチュードの哲学は、患者には徹底的に人間らしく接するということです。具体的には次の4点。

  • 介護者は必ず正面から笑顔で見つめる。認知症になると視界の中心しか認識できないからです。
  • 優しく触れる。掴んだり引っ張り上げるのではなく、動こうとする意志を生かして支える感じ。
  • 話しかける。何か世話をするときには、実況中継をするように話しかけ続けるのがポイント。認知症の人は、何をされようとしているのかすぐ忘れてしまうから。
  • 寝たきりにしないこと。

この方法で本人だけでなく家族や介護に係る全ての人が穏やかに暮らせるようになるそうです。

ユマニアス前の攻撃的表情

ユマニアス後

認知症が進むと顔を見てそれが誰かを判断することはできなくなるが、喜怒哀楽は読み取れる。だから、笑顔で優しい声や調子で話しかけること。

アルツハイマー認知症患者に見られる攻撃的言動や介護拒否はどうして起こるのか。行動心理学的研究からその要因はストレスホルモン過多であることが分かりました。アルツハイマー病になると体内にストレスホルモンが多く分泌する。一方、ストレスホルモンを打ち消す作用のホルモンがあって、それは脳の海馬が出しています。ところがアルツハイマー病では肝心の海馬が委縮しており、ストレスホルモンが出っぱなしの状態なのです。海馬が役に立たなくても、介護の力でストレスホルモンを撃退することができるのです。その方法は手、腕、背中などを優しく触れて撫でること。それによって心地よいと脳が感じると脳は気分を安定させるホルモンを分泌させ、脳の興奮が収まります。その結果ストレスホルモンが減る。