NHKTV「がん大国中国」を見て

先日放映のNHKテレビで、がん大国中国と題する特別番組を見た。

これを見た感想は、日本国民として現在日本国に在住していてよかった、である。

その心は、ずばり患者の医療費負担である。この番組を見る限り、中国ではがんになったら最後多くの中国人は破産する、まさにがんは患者の生命を破壊すると共に、家族周辺の生活をも無茶苦茶に破壊する恐ろしい病として存在するのである。その原因は公的医療制度の完備が不十分なことである。がんに対する公的援助はあるにはあるが、その範囲は極めて限定されており、少し先進的治療になると、そのための検査を含めてすべて自己負担になる。しかも医療費は全て前払いが鉄則であることもプレッシヤーであろう。翻って、日本の場合は。国民皆保険でほとんどの医療が賄える。歯科や先進医療の多くもこれでカバーされる。こういう国は珍しいと思う。しかも天下の「高額医療費制度」ががっちり落ちこぼれを掬い上げてくれる。岸田増税内閣、まさかこれに手を付けることはないでしょうね。あの人は紳士的な顔して、取り巻きに流されて何しでかすかわからん人だから、ある意味安倍、菅さんたちより質が悪い要注意人物ともいえる。

さて、中国がどれほどのがん大国かというと、年間のがん患者数457万人(2020年WHO統計)世界最大のがん大国である。人口14億人だから、およそ30人にひとりががん発症者の計算。一方日本の場合は、2019年の数字で約100万人(100人にひとり)である。だから日本の約3倍のがん患者数ということになる。

中国でがんになるとどうなるか。もちろん医療体制は整備されていてがん専門の病院に入院加療できる。ただし、地獄の沙汰も金次第であるが。あなたの最適治療はこれこれですが、それにはこれだけの治療費がかかりますが、どうされますかと適宜病院のご下問が来る。患者と家族はその都度つらい命の選択を迫られるのである。そして検査と治療が支払額に見合う限度にとどめられる。結果は多くの場合中途退院となる。高額自己負担を賄うために家族は親戚友人知人を駆けずり回って工面する。自分の家を売ったりせっかく立てた工場を二束三文で売り払ったり、とにかく死に物狂いの工面をする。しかしその結末は、がんの性質上完治は難しいから、後には借金まみれの家族が残るだけ。その返済に苦労する人生が家族に残される。

実際の自己負担額の平均は280万円。これは平均年収の5倍だそうである。公的医療保険があるにはあるが、カバーする額は30%程度のようである。

軍事費、ミサイルや原爆を半分に削って公的医療保険の充実や生活保護に回せば世紀の大宰相として中国の歴史に燦然と名が残ると思うが、そんなことは習近平氏の後継にも期待できないか。