日本沈没という映画

日本沈没という映画をTVでやっているのを懐かしく見た。

先週の話。この映画のオリジナルは1973年の小松左京氏の同名のSF小説に準拠している。日本海溝で起こる天変地異で日本列島が短期間で海中に没してしまうという物語。大陸移動とかマントル対流プレートテクトニクスとか、当時の地球科学の学術的知見の粋を散りばめた、いかにも本当に起こりそうな内容だったので大ベストセラーになった。私は当時丁度地球科学の専攻を終えたばかりだったが、私の浅学の知識では「沈没」の事の嘘眞を正しく把握するのは困難だった。

実際の科学的事実は、沈没とは逆に日本列島は浮き上がる傾向にあるらしい。これは太平洋側から日本列島の下に潜り込む海洋プレートの押上げ効果である。だから日本沈没というのは完全なSFなので安心されたい。

しかしである。別の天変地異が20年以内に日本を沈没滅亡もどきの危機に陥れようとしているのをご存じだろうか。引き金は西日本太平洋岸を襲う広域大地震。現在の地球科学では時期的に正確な予測はできない。可能なのは確率的予測。それが起こるのは2035年プラスマイナス5年とされている。それはいわゆる南海地震。しかし単なる南海地震だけでない。それに連なる東南海、東海地震が一気に連動して起こり関東から九州までの西日本ベルトがとんでもない規模の災害に見舞われることがシミュレーションで示されているのである。地震の規模は東日本大地震と同じマグニチュード9.1、34mの大津波地震直後数分で陸に到達、死者推計32万人、被害総額は220兆円(東日本大災害の10倍)、人口の半分6000万人が深刻な被災、太平洋ベルトの産業経済は大打撃をこうむることになる。

おそらくこれに加えて富士山の同時大噴火も加わるであろう。

これだけでもほぼ滅亡状態なのに、さらに致命的な伏兵が控えている。それは原子力発電所原発)の被災。岸田政権はエネルギー政策を原発推進に舵を切った。こんな広域大地震津波にすべての原発が耐えられる保証があるのか。第一そんな厳しいシミュレーションなどやっていないであろう。日本民族は過去何万年も同様な大災害に遭遇してその都度完全に再起復興し進化した経験者なので、今度予測される大災害も克服するだろう。ただし、それは原発が無ければ話である。何しろ原発事故の克服など日本民族は未経験だし、狭い列島で本当にできるのか、全く未知との遭遇に等しい。チェルノブイリも福島も単に蓋をして胡麻化しているだけで住民復興とは程遠い。人が住めなくなれば、日本沈没と同じである。こちらの沈没は本当に恐怖だ。その時期に日本に住んでいる人、心からご愁傷さまといいたい。