デイ・ゼロ地球から水がなくなる日・その2(熱帯雨林の消滅)

NHKBs世界のドキュメンタリーから。

前回の続き。ブラジル熱帯雨林の消滅。

大都市と熱帯雨林アマゾンの隣接する国ブラジルは世界の気候の行方を握る国といわれる。その意味はアマゾン熱帯雨林の生死を左右する国だからである。実は熱帯雨林に代表される地球の原生林は、雨の生成による地球の水の循環に決定的役割を果たしている。だから干ばつ抑止、温暖化軽減の観点から、原生林は絶対無条件で保存しなければならないのである。ところがアマゾン熱帯雨林はすでに1/5に減少してしまった。理由は牛の酪農のための牧草地確保のための原生林伐採である。1年に伐採される原木は実に25億本、跡地の8割は牧場になる。その結果、ブラジルの牛の数は世界2位となり、世界中でブラジル産牛肉のハンバーガーが入手可能になった。そして急速な経済成長を遂げ、人口も2億人超え、世界9位の経済大国となっている。一方でその付けは甚大でじわじわと忍び寄っている。森林減少に比例して大都市、例えばリオデジャネイロサンパウロやベリーゾンデでは降雨量が劇的に減り大干ばつに見舞われている。世界で最も淡水に恵まれた国ブラジルでは、いまや水を求める市民のデモや給水車の強奪など暴動が頻発する国になった。

森は地球の心臓である。心臓を失えば自然界の全ては死滅する。人間は取り返しのつかない一線を越えようとしている。

このことをまずは真っ先にブラジル大統領が認識して、遅まきながらでも森林保護に乗り出すのならまだ希望があったのだが、事実は真逆に進行した。ブラジル新大統領は今迄に輪をかけた経済優先の持ち主だったのである。国民がそういう指導者を担いだのだから水不足干ばつは自業自得である。この付けの波及はブラジル一国にとどまらない。第2次大戦の千倍の悲惨な事態が待ち構えているといわれる。

増加する人口が気候変動に拍車をかけている。そしてその影響は真っ先に水に現れる。これまで地球の水の枯渇は遠い先と思われていた。しかしそれが身近に迫ると人は争いを始める。デイ・ゼロは限られた地域の話ではない。世界の全ての人類に迫る危機である。

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森林が雨を作る。熱帯雨林の保護が絶対的に重要な理由。

雨が森林を作るのでなく、森林が雨を作る。この事実が近代科学でこのほど証明された。このことはアマゾン先住民はよく知っていた。彼らに科学など必要ないのである。

まず木々は重力に逆らって地中深くから水を吸い上げ枝の葉に届ける。

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葉は届けられた水分を水蒸気として空中に放出する。人間が灌漑するように木々は絶えず周囲を潤すのである。だから密林の上空には膨大な水分が滞留する。それはあたかもアマゾン上空を流れる大河のごとくである。水量はアマゾン川を凌ぐといわれる。

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雨になるには核が必要であるが、不思議なことに木々は雨粒になる核となる有機化合物の微粒子も同時に放出しているのである。これを称してまるで魔法のようだと発見した科学者は感想を述べた。この現象は空を流れる川に例えられている。およそ4千億本の木々が大量の水蒸気を空中に放出し雨を生成している。それが広大な牧草地に姿を変え雨の生成機能を失った。NASAの衛星で観測すると、新大統領の経済促進政策でなんと1分間にサッカー場3つ分の森林が消失しているのである。この分では1/5残っているアマゾン熱帯雨林の完全消失は時間の問題であろう。その時世界の人類はどのような危機に直面するか計り知れない。