8月8日に南海トラフ巨大地震注意報が出され、巨大地震が従来より起こりやすくなったので1週間は注意するようにという警告が国から出ました。TV等での専門家の解説を聞いてもなにか奥歯にものの挟まったような話ばかりで釈然としない人がほとんどだったのではないでしょうか。少なくとも自分はそうでした。理由はその根拠がはっきり示されてないからです。そんななか注意喚起の真意というか根拠が明快に示された新聞記事が出ました(朝日8月11日朝刊)これで納得。新聞の存在意義を示した例として特筆されるべきでしょう。この記事を踏まえて今回の国の注意喚起を私なりに解釈しました。
国の注意情報の根拠はこの図そのものであり、これ以上でもこれ以下でもありません。問題はこれを人はリスクとしてどのように受け取るかということです。ではこの図について説明します。
この図は、1904年から2014年の間に世界で発生したM7~9の巨大地震1437事例について考察し、M7級の前震を伴った事例を拾い集めたものです。東日本大地震も含まれています。図によると結果は次のようでした。
想定震源域でM7地震が起こったのち1日後に巨大地震が起こった例⇒4件
2日後に巨大地震の事例⇒1件
3日後⇒1件
以上集計すると7日以内に巨大地震発生件数は6件となります。
その後13日までは静穏。14日後に発生⇒1件
その後3年間見ていくとさらに6例追加される。
上記の図の示す内容は以上です。これを踏まえて気象庁は1週間を注意期間とする情報を出しているのです。具体的に言えばその巨大地震に至る確率は6分の1437,つまり0.004(0.4%)です。問題はこれを、なんだ大したことないと無視するか、これは大変だと受け取るかです。0.4%というと新型コロナ死亡率よりは2桁ほど高い。けれどたいていの人は何だその程度かと思うと思います。しかし専門家によると、この数字は地震学的には高いのだそうです。そう言えば能登地震の発生確率は1%以下でした。阪神淡路の時もそうですね。結局起こるときは起こるし、そうでない時もいっぱいあるということです。1週間何もなくてほっとしていると1,2年後に起こることだってあります。
それから、この図が示している最も大事なことは、1437例のうち1423例では前震の前触れもなしに突然巨大地震になっているということです。ですから今だけでなく常に不断の注意警戒が求められるということです。これがこの図から得た私の結論です。