日本の夏の酷暑はこの2年特にひどい。連日35度以上。このような時期に大規模災害に遭遇したらどうなるか。想像するだけでぞっとする。なぜなら、空調のない体育館などに集団生活になるからである。実際にどのくらい過酷かを大阪府6市町の災害担当職員が酷暑の体育館に宿泊して避難所運営の訓練を行った。防災担当職員らと日本赤十字社の医師、大学教授ら60人が参加、そのうち40人は宿泊も体験した。酷暑が予想される体育館での避難生活で熱中症などの健康被害を防ぐ具体策を探る」のが目的という。実施された日の最高気温は35度。体育館にエアコンはなく、冷風機(スポットクーラー)と扇風機が4台ずつ設置されている環境、結果は。参加者からは「命の危険を感じた。」「風が通らず軽い熱中症である頭痛を感じて明け方まで眠れなかった。」体育館入り口に災害用シャワーが設置されたが、40人にわずか2台。実際の災害時にはその何倍もの避難民が宿泊することになり数日で不衛生状態になる。しかも電気や水が止まった状態ではクーラーやシャワー施設があっても絵に描いた餅だ。トイレはどうしていたのかは記載がない。この訓練を企画したのは「避難所・避難所生活学会」、災害医療の専門家で作る学会だそうだ。こういう学会の存在は初めて聞いた。学会担当者は「猛暑の避難所はかなり過酷になることが分かった。災害関連死を出さないための対策を研究していきたい。」
環境が過酷であることは訓練を体験するまでもなく分かり切った話。真夏(6~9月)の大規模災害における災害関連死者数は災害直接死者数といい勝負になるかもしれない。