自分ファースト。これ、今回の米国大統領選挙のキーワードだったと思う。日本へは数年遅れて米国の風潮が入ってくるのでいずれこの国もそうなるかもしれない。そうなれば流行語大賞候補になるだろう。
さて、トランプさんの圧勝の程度はこの真っ赤な地図のとおりである。まさに真っ赤だなの秋の童謡の通りに、米国の各州が見事に紅葉してしまったように見える。
ほぼ全土が共和党シフト。直前までメインの新聞TV世論調査は接戦且つハリス優勢だった。2016年のトランプ、クリントン戦の時の世論調査大失敗を踏まえて徹底的に世論調査手法を改造したといわれるが全くダメ模様。衆議院選の日本の世論調査の精度の方が余程よかった。これは、日本人の回答の方が正直な性なのかもしれない。それから驚いたのは投票率が93%という考えられない効率であること。衆議院選の50%そこそことは大違いだ。それほどに大統領の政策や決定は個人的にもろに響くということなのであろう。
今回の大統領選挙の争点の中心はトランプ氏の強調する経済と移民で、ハリス陣営はこれを避けて中絶を争点化しようとしたができなかった。それほどに現在の米国の高インフレによる生活苦はひどいということらしい。月収75万円の労働者でも簡単にホームレスになっているとネットには出ている。バイデン前大統領のインフレ無策の恨み節が強烈だったということである。さらには近年の移民の増加が低賃金と就職難の原因とみなされ、不法移民の強制退去を強く言明したトランプ陣営の作戦勝ちとも言われている。しかし、移民労働者がいなくなれば労働者の賃金高騰につながりそれによるさらなる高インフレ化というのが論理的帰結だと私は思うがどうなんでしょう。今度はそのことで新大統領トランプが大統領就任後攻め立てられるかもしれない。でも大統領3期就任は禁じられているから、そんな先のこと等野となれ山となれで心配する必要はないのであろう。
高インフレによる生活苦は民主党員であろうと共和党員であろうと分け隔てなく襲ってくる。だから、普段は民主党リベラル民主主義信奉者であっても今回は共和党トランプ候補に投票したといういわゆる隠れトランプの数がトランプ圧勝を招いたと言われる。言い換えれば、「自分ファースト」の困窮サラリーマンを巧みに味方につけたということである。もはや民主党の掲げる民主主義死守の大義名分は米国では過去のものとなりつつある。米国民の自分ファーストはトランプさんの掲げる米国ファーストと見事に符合している。