日本の被団協(日本原水爆被害者団体協議会)、ノーベル平和賞受賞。
授賞式での受賞演説⇒人類が核で自滅しないように。(朝日新聞11日朝刊)

現在の世界情勢は核で自滅する危機がどの程度迫っているか。破滅迄の切迫度を午前0時までの残り時間で示す時計が毎年声明とともに発表されている。これを行っているのは米国科学誌原子力科学者会議。それによると2023年は90秒前。1947年から毎年出されている中でなんと破滅迄の時間は現在が最短である。
これはプーチンの狂気によるところが大きい。核保有の正当性は核抑止論であるが、核抑止論には絶対的な前提がある。それは、核のボタンを握る国家リーダーが、破滅回避という理性的判断力を常に有するということである。過去から現在、世界の核保有国のリーダーたちを眺めてみて、これほど危うくて恐ろしい前提はないのではないかと思える。しかし、その中で40年前のレーガン、ゴルバチョフによるアイスランドレイキャビック首脳会談は和平構築に資する傑出したものだった。ゴルバチョフをこの軍縮階段に促したのはその年4月のチェルノブイリ原発事故だったといわれる。「たった一基の原発事故でこれほどの被害が出る。もし戦争で核兵器の制御を失いチェルノブイリのような被害が蔓延したらどうなるか。人類の手におえない。」とゴルバチョフは会談出席を決断した当時を回顧した。日本や世界の原発推進者にもこのくらいの想像力が備わっていてほしいものだ。私が思うにロシア北朝鮮米国ほか、核ボタンに手をかける愚か者の頭の中を常に監視する瞬間的CTスキャン装置を発明する必要がある。
実際に核戦争はどのようなきっかけで起こりうるか。それは核ミサイル発射の誤報がきっかけのようである。昨日の朝日に、あるソ連中佐の回顧記事があった。1983年9月26日米国から5発の核ミサイルが発射、というシグナルがソ連の早期警戒衛星から発せられたことがあった。ミサイル監視の中佐はどう対応すべきか数分以内に決定して大統領に上げなくてはならない。なぜなら誤報でなければ躊躇している間にミサイルが着弾してしまうからである。その前に反撃の核のボタンを押してもらわねばならない。当時この任に当たっていた中佐は、これは誤報に相違ないと思ったという。「たった5発で戦争を始めるはずがない。」がとっさの判断だった。そしてそれが正解だった。
加えて、システム上のエラーによる誤発射の懸念もある。フェイルセーフ機能は全く万全ではないのである。これはソ連だけの話でない。元米国防長官の著書によれば冷戦期に米国で少なくとも3回、ソ連で2回そうした誤警報があった述べている。これまでの核戦争なき世界は、知らぬが仏の薄氷を踏む結果だったのである。
(朝日新聞12月10日朝刊1,3面記事を参考にした)