最初に蛇足
冬の我が家の庭の柑橘類



さて本題のPFAS。
WHOは発癌性を警告し欧米では規制が厳しくなっている。それに比較して日本はかなり楽観的というか日和見静観の状態だ。それは規制値に現れている。日本では罰則なしの50ng/l。対して米国では20ng/l。さらに来年は4ng/lと一段と強化する構えだ。日本が規制強化に逡巡している理由は、健康被害の証拠不十分ということだが、予防の観点からは先手を打って規制する必要があると思う。現在私がTV番組から拾える健康被害に直結する事項は、NHKによる論文調査とイタリアにおける疫学調査である。
①NHKによる論文調査
NHKはAIによる全論文解読システムで調べた。PFOS,PFOA,PFHOAに関する論文総数は7380本。そのうち人や動物への影響に関する論文3116本。その結果は次の通りだった。
・PFOSとPFOAについて・・・健康に悪影響ありとする論文数50%
・PFHXSについて・・・健康に悪影響ありの論文数35%
「疫学調査でこれだけの結果が出てるのだから明確な被害が出る前に予防原則の観点から規制強化すべきだ。」(東大名誉教授遠山千春氏)
②イタリアにおける実際の健康被害例(NHKTV:NHKスペシャル)
イタリアでは現に住民に健康被害が出ている。こういう先例は無視すべきではない。教訓として予防すべきだ。それが厚労省の責務でしょう。
イタリアのベネト州。豊かな地下水に恵まれ、農業ワイン生産が盛んな州。ところが2013年水道水から多量のPFAS(1214ng/l)が検出されて住民の生活は一変した。汚染源は近所のPFAS製造会社ミテーネ社(すでに倒産)。同社は2013年までなんと50年間PFAS汚染水を工場から垂れ流していたのである。水道水のPFAS含有量は1214ng/lという驚くべき高値だった。汚染水の影響は80を超える町村35万人に及び、世界最大規模のPFAS汚染となっている。これを知った住民の激しい怒りのデモにより国の支援のもと関係住民のPFAS血中濃度が測定された。その平均値は81ng/lという憂慮すべきものだった。(米国の基準値:血中濃度20以上で健康被害)さらにこれを受けて大学教授による詳しい疫学調査が実施された。その結果次のように具体的な健康被害の実態が明らかになった。なお、疫学調査とは集団の健康データを統計的に分析してPFAS汚染と病気との関連性を探る手法である。
・汚染区域の死亡者数はそれ以外の地域より8%多い。
・心血管疾患が12%多い
・重度の低体重出生児の割合が有意に多い(母体のPFASが胎児と共有されるから)
研究実施教授談「大量のPFASに長期間晒されると心血管疾患が増え死亡者が増えるという不気味な住民実験結果になってしまった。」同地区では汚染企業に対し浄化の費用負担裁判を起こしている。結審は来年。これを受けイタリア政府は2023年から法的拘束力のある規制に踏み切った。
こういう貴重なケーススタディから世界は最大限の教訓をくみ取るべきである。