突然見慣れないものが現れた。PFAS,これが新たな汚染物質だとか。もう次から次と切りがないですね。
PFASとは有機フッ素化合物の総称で、その種類は4700以上ある。そのうちのPFOS、PFOA、PFHXSが健康に有害とされ、国際条約で製造使用が禁止された。しかし過去からの地下水、土壌、農作物への蓄積があり、血液検査で人体への滞留が指摘されている。米国の研究で具体的な人体への影響の一端が明らかになっている。ある濃度(確か20ng/l=1リットル当たり20ナノグラム)以上のPFAS摂取継続すると脂質異常症、腎臓がん、抗体反応低下、乳児胎児の発育低下の懸念があるとされた。ただし、PFASのために弁護しておくと、この物質は非常に便利なもので半導体、防水服、泡浄化剤、包装紙など身近な製品にこれまで広く使われているのである。このように生活を支えるのに有用な物質であるが、分解されにくく体に蓄積して人体に害を及ぼすのが問題なのである。そのため前述のごとくPFASのうち有害と認められたPFOS,PFOA,PFHXSが国際条約で製造、使用が禁止されたのである。
さて、そんなPFASが日本で初めて検出され問題となったのは2016年沖縄である。沖縄の地下水や水道水がPFASに汚染されていることが発覚したのである。汚染源は諸般の事情から米軍基地が疑われた。基地周辺での汚染が強く、基地では泡消火剤が広く使用されているからである。県は基地内での汚染源調査を要請したが例の日米地位協定に阻まれて現在も実現していない。
PFAS汚染は沖縄だけでなく日本に広く及んでいることが分かった。例えば大阪のある地区の地下水。ここでは地下水を含む土壌からも汚染が見つかり家庭用の野菜つくりを断念せざるを得なかった。汚染源は近隣の会社の工場と目されている。(NHKTVクローズアップ現代)
また、最近の環境省による全国河川、地下水検査によると全国37か所で国の暫定基準値50ng/lを超えていることが分かった。そのなかに私の住む多摩地区も含まれる。なので以下はそこに焦点を当ててみることにする。実は近傍に存在する米軍横田基地がPFASの有力汚染源の一つと目されている。PFAS汚染が見つかって水道供給停止した多摩の浄水所と横田基地の位置関係は下図の通りである。(出所:NHKTVクローズアップ現代)小平、西東京の隣接地が私の居住地東久留米。東久留米も実は汚染地である。
これに地下水の流れをかぶせると下図になる。(同じくクローズアップ現代)
青い横線が地下水のシミュレーションによる流路。この図を見ると地下水の上流に横田基地が鎮座している。同基地の泡消火剤の疑い濃厚と言われる理由である。むろん同基地単独犯ということではなく他の汚染源との複合であろう。しかし有力な汚染源であることには変わりはないので基地内の調査が実現してもらいたいが、これは例の地位協定でダメでしょうね。実は去年横須賀ではPFAS汚染が横須賀米軍基地であることが明らかになり司令官が公式謝罪したという例があるから横田基地も極めて怪しいのである。石破総理は就任直前非公式所信表明で日米地位協定の改定に言及した。これはこれはと石破さんを見直したが総理になった途端内外圧力に屈してあっさり引っ込めてしまった。自分の地位の確保にきゅうきゅうとしている政治家は影が薄いですね。
さて、東久留米市においてはだいぶ昔は地元の地下水や多摩湖の浄水が水道として供給されていたが、現在は東京都水道局で浄水処理された水道水が配水されている。その中には上の図に示した地元浄水所の地下水も含まれるが、そこでのPFAS発覚と共に供給が停止されたので現在の水道汚染はないとされている。そのことは今朝の朝日新聞のPFAS記事を見ると本当のようである。
しかし水道は良くても地下水や土壌の汚染はまだありうるのでさらに広い対象で調査すべきだ。地元産の野菜などの汚染有無はどうなんだろう。もし汚染していたら生産者、消費者共に大変な悪影響を被ることになる。
PFAS汚染調査については世界的にも緒に就いたばかりである。科学的な安全基準値も何も明らかになっていない。だから国よってその値はまちまちな状態である。日本では暫定目標値として50ng/lと定められている。この量は一応毎日2リットル70年間飲み続けても人体に悪影響なしとされている。一方で米国の研究機関では20ng/lの汚染水を飲み続けると腎臓がん、脂質異常、抗体反応低下、乳胎児発育低下が起こると発表しており、そのため米国の基準値は20ng/lと日本より厳しい。来年からはケネディ長官が就任するからかもしれないが、さらに厳しい4ng/lの基準値を目指すとしている。