ゴンドラの唄

「命短し恋せよ乙女・・」で始まる大昔の流行歌です。ゴンドラの唄、と聞いてこの歌詞とメロディが浮かぶのは何歳以上の方でしょうか。1915年発表、100年も前の流行歌です。吉井勇作詞、中山晋平作曲。当時の恋愛ご法度、見合い推奨の社会環境の中での「恋せよ乙女」とは過激な発言ですが、この詩はアンデルセンの即興詩人の一節をもとにした語とのことです。どうりで、日本人の発想ではないことに納得。現代の、乙女の命、寿命が長い時代には、どんな言葉がふさわしいでしょうか。

ところで、この唄、1952年の黒沢明監督の映画「生きる」の劇中歌として印象的に使われています。時々黒沢特集のTVで見ますが、七人の侍など特有のアクション映画と全く違う掘りの深い作品です。田舎の村役場の「何もしない」、「たらい回し」、「中央官庁からの天下り」を痛烈な風刺で描いた作品。そこに見えるのは,現代と何も変わらない日常です。何もしようとしない村役場の中の強烈な抵抗と摩擦をくぐり抜けて、住民の強く要望する仕事をついにやり終えた実直な老課長が、雪の夜公園でブランコで半生を回想しながら「命短し~」とつぶやくように歌ってそのまま亡くなるシーンがあります。私にはこれが実に印象的。このシーンを見て、命が短いのは何も乙女だけではなかったのだと気が付くのではないでしょうか。

「出来ることは今すぐやっておこう。」ゴンドラの唄と映画生きるからの我々へのメッセージです。

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では、オカリナで、ゴンドラの唄聴いてください。

この画像、とてもユニークです。江戸川乱歩の文「挿絵を旅する男」に「しきみ」という作家が挿絵を付けた絵本から借用しました。100年前の唄と現代風ランデブーの絵のミスマッチをお楽しみください。

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