「水」の続き

水の話題、「摩周湖」につづき、今度は中国の人造湖のお話。

これは恐怖のお話かもしれません。

揚子江(長江ともいう)の下流三峡ダムという世界最大の発電用人造湖があるのをご存じだろうか。これは長江をせき止めて作ったもの。中国共産党の威信にかけての建造だったので、百万人規模の強制移住とか、名所旧跡の水没、水質汚染地震誘発するかもとか建設時からいろいろ問題山積でしたが、ともかくも10年前から発電営業を開始しました。

ところがここにきてこの巨大ダム決壊するのではないか、という懸念が急に持ち上がってきました。ここ2週間くらいその話題でユーチューブが盛り上がっています。水害による直接被害は中国国民ですが、汚染水の影響で沿岸の中国漁業が成り立たなくなり、日本領海の乱獲が激しくなる可能性もあるので単なる対岸の火事ではないと思われます。

懸念されている決壊の前兆現象は、水をせき止めているコンクリート壁の歪みです。水圧に押されて下流方向に40mぐにゃりと曲がっている。その歪みが去年から突然現れたというのです。なぜ現地に行かなくてそれが分かるのか。文明の利器、グーグルアースの空中写真のおかげで、ばっちりその証拠が写っています。年ごとの写真を並べてみれば壁の変形は一目瞭然。当初否定していた中国当局も変形は認めざるを得ませんでしたが、この変形は弾性変形(ゴムの伸長と同じ)で設計の範囲内だと説明しています。しかし大抵こういう当局の弁明は嘘であることが多いですね。ともかく空振り覚悟で即刻ダムの水を放水で抜くとか、下流住民の避難とかの緊急事態であることは間違いなさそうです。でもダム放水は間に合うかどうか、それに長江河口には上海という大都市がありますから実質的に避難は不可能でしょうね。ダム決壊の場合ダム下流1億人が水害に会うといわれています。日本でいうと1千万人ですよ。そんな水害聞いたことない。三峡ダム周辺の観光施設は数日前急遽営業を停止したようです。もし上海に友人親せきの在住者がおられたら気を付けてください。

余談ですが三峡ダムに溜まっている水の水質汚染は半端ではないようです。とにかくこれ以上ないという汚れ方だと思えばよい。というのはすぐ上流に重慶という大工業地帯があって、その工業廃水が長江にたれながされ、おまけに上流住人の糞尿が垂れ流し状態なのでそういった汚物の諸々がダム湖に滞留しているわけです。それが一気に流れ出したら・・。身の毛もよだつホラー話ではないでしょうか。

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