熱帯低気圧

一昨日20号は東にそれる予想であったが結構近づいてきた。今午前8時。風雨が結構強い。こういう時はどう過ごすか。19号の時はこれ幸いと大音量のカラオケ伴奏をかけてオカリナを鳴らした。

もう一つの過ごし方は?じっと雨音風音を聞いて瞑想に浸ることである。そうして風雨の音を聞いていると、孤独ということについていろいろ浮かんできた。老人は孤独でいることが諸悪の根源のひとつだと世の多数意見は唱える。イギリスなんかでは孤独担当大臣なるものが登場して、国家が老人の孤独を管理し始めたくらいである。一方で書店を見ると、いやいやそんなことはないという孤独のお勧めみたいな内容の新書本が並んでいる。大体においてそれらの著者は自身ご高齢の女流作家と決まっているようだ。さてどちらが正しいのでしょうね。

さて、きのう竹内てるよというRECOCA御贔屓の詩人を紹介したが、静かなる夜明けと題する詩集に、孤独というか一人でいることの素晴らしさを美しくそして力強くうたい上げた詩があるのでご紹介してみます。

    一人の時

        竹内てるよ

暮れなずむ窓の下に座って

じっと いつまでも ひとりでいる

その静かなる時が 私は好きだ

一日の仕事も かきものも終わって

新しい花など 花さしにさせば

花のむらさきから 静かに夜が来る

じっとすわってひとりのときほど

最も大勢の人間であるときはない

私は他人の不幸を自分の身内に感じ

ひとしく自分の幸せを他人の上にうつし

その血を同族のために流す

それほど高められたわけではないが

決して孤独ではない

 

暮れなずむ窓の下に一人すわって

もし それが雨上がりでもあれば

霧は ほのぼのと 北から暮れる

宿望を胸にくりかえすまでもなく

乏しい生活の借銭の申しわけも思わず

無心に 風にゆれる白萩の枝を見つめる

こんななときほど 幸せのときはない

世界は 私の中にひろがり

生き 且つ働きつつある人々と私

他人の屈辱に耳まで赤らめ

そのときほど謙遜で大勢のときはない

 

人のために死ぬと大言はしないが

水のように心は静かに深みまさり

一人のとき そして最も大勢のとき

世界の切望は ひそかに胸に鳴って

ああ 私は こんな時が一番好きだ

たとえ その放言を千人が笑っても

ただひとり その涙を知ればよい

 

RECOCAの演奏で真夜中のギター

youtu.be