アレキシル・カレル(2)

ー奇跡は存在するかー

1.カレル博士の答え

「奇跡は存在する。」

例としてルルドの泉での多くの難病治癒例を挙げている。ここではどんな医者でもそのありのままの記録をルルドの医学事務局で閲覧することが出来る。

 

あまりの評判に米国から調査団が派遣されることになった。ところが時は19世紀、当時の科学界の猛反発、つまり「奇跡など存在するはずがない」という唯物思想におされて実現しなかった。そして、それ以降は科学界の反発を恐れる世の中から徐々に忘れ去られる存在となってしまったと記されている。

 

しかしカレル博士曰く「過去50年間研究した事実からすると、この世の中の態度は支持できない。多くの奇跡による治癒例がルルドの医学事務局によって報告、保管されているからである。

腹膜結核、寒性腫瘍、骨炎、化膿症、癌などの重要な治癒症例である。

 

治癒の経過はほとんど同じだ。鋭い痛みの後、突然治ったという感じをもち、2,3秒、2,3分、遅くとも2,3時間以内に機能的、物理的症状が消え、食欲が出てくる。

 

この現象が起こるには条件がある。それは祈り。ただし、患者本人が祈る必要はなく、周りの誰かが祈りの境地に至ればよい。

 

この事実には深い意味が潜んでいる。すなわち、心理的な働きと肉体の働きには、まだ本質的にはよく分からないある関係が現実に存在しているということである。」

これは、精神と肉体を無関係とする2元論の誤りの実例といえるだろう。

参照書籍カレル著「人間、この未知なるもの」渡部昇一