雪が降ってきたので、今日は柄にもなくなんちゃって憲法。
かみさんが池上さんの本「超訳・日本国憲法」を買ってきたので眺めてみた。お勉強になりました。今まで憲法などは神棚に奉っておくだけのお飾りと思っていたが、心を入れ替えた。
一番目を開かれたのは、我が国の憲法は立憲主義に基づくということ。これでピンと来る人は凄い教養人!何のことかさっぱりわからなかったが、実はこのことが日本国憲法の最重要基盤であるとの理解に至った。立憲主義の憲法とは、平たく言えば「権力を持たない国民が、権力者にこの憲法を守れ、と押し付ける憲法である。つまり言い換えれば、日本国憲法とは国家権力を制限規制するための役割の法である。同時に、国民の権利(基本的人権等)を保障するという大事な役割もある。この「権利の保障」がミソで、決して国民に果たすべき義務を規定しているのではないということ。憲法が述べている国民の義務はただ次の3点、教育、勤労、納税のみである。権利ばかり主張して義務の視点が不十分な憲法との批判がときにあるが、立憲主義の立場からは筋違いというものである。
安倍総理はじめ自民党は現行憲法を改定したがっているとのことで、2012年にはその草案が公開されている。一般論としてであるが、権力側が改定を言い出すということは、憲法による権力者の縛りをゆるくして、さらには国民の権利を小さくしようとしているのではないかという疑いの目でとことん草案を調べる必要があるということである。
改定点はいくつかある。一番わかりやすいのは例の9条。国防軍の設置を盛り込みたがっているようである。すでに現行自衛隊は国防軍もどきなので言わずもがなと思うがどうなんだろう。これを書くと外国で米軍との共同行動がおおぴらにできるようになるのか?専門家の議論をよく聞かないと素人には分からない。
じつは9条以外の部分、前文や国民権利等の部分の改定が格段に多数である。生活に直結する重要な部分にもかかわらず、改定の結果我々の権利がどうなるのか、縮小するのか、拡大(はあり得ないが)するのか、言い回しが難しくてさっぱり分からない。現行憲法で我々国民は何ら不便を感じていないのだから、改定した結果どうなるかよく分からないというリスクを犯す必要があるのか、この点の疑問にしっかり答えてくれないと、国民投票でNOというしかない。
この改定草案で、素人の私が見ても唐突だな~と思う条文がある。
第24条(家族、婚姻等に関する基本原則)
1 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。
この条文は現行憲法にはない。何を意図しているのか。自然な憶測は、介護等を家族に押し付けて国家予算を減らそうというたくらみ?
しかし、この思想は近未来の家族構造予測に照らせば非常な無理があるだろう。なぜなら新聞記事によると、2035年には独身者(ひとりぐらし)が半数を超えるといわれているからである。
第一同居または至近に居住する家族というものがいないのだから依存しようがない。
ともかくも、憲法改定の論議は素晴らしく知的なゲームであることが発見できた。池上さんの本に感謝したい。
うちの庭の古木の梅
この枝を土にさしておいたら花が咲いた。
庭の夏みかん、2回収穫したがまだこれだけなっている。
おまけ。
絵手紙作品5
今日の句
・手入れせぬ庭いつしかに蕗の薹
・読み切れぬ老ひの心や木瓜(ぼけ)の花
・老ひを生く喜びもあり水温む