俳句

友人に刺激されて俳句もどきをこの一月ひねり出し続けたが、決定的な語彙不足でどうやら種が尽きたようである。しかし、とっかかかるとある程度は見極めをつけないと気がすまない性分なので、図書館で素人向けの俳句の本を借りてきた。

一億人の俳句入門 講談社 長谷川櫂

 

これはまた素人に目から鱗の結構な本である。ただし言っておくが、一読したからといってすぐに上達するというものでもない。

この本によれば、俳句には大別すると2種類ある。

 

1.取り合わせの句

旅人とわが名よばれん初しぐれ 芭蕉

→「旅人」に対する「初しぐれ」の取り合わせ

菊の香やならには古き仏たち 芭蕉

→「菊の香」に対する「古き仏たち」の取り合わせ。が絶妙なのである。一見無関係に見えて、句に読まれるとそれしかないという取り合わせ。だれでもすぐ分かるのは最初から種明かしされている手品と同じで平々凡々の句。逆にだれも理解不能の取り合わせは意味不明の迷句。

 

一ヶ月やってみたけど、取り合わせは一つもできていなかった。この種類の句こそ俳句の醍醐味だが、非常に難しい。

 

2.一物仕立ての句

春の海終日(ひねもす)のたりのたりかな 蕪村

取り合わせのない句というのもある。散文と区別するため切れ字(や、かな、等)を入れる。ただし、ここで大事なことは「はっとする驚きがなくてはならない」上の句でいうと、「のたりのたり」に相当する言葉。これがまた、的確な驚きの言葉を探し出すのが難しい。

しかも制約は5-7-5の17文字、おまけに季語を入れる。

で、結論は「俳句は難しい。」、「遊び半分に手を出すようなものではない。」

上の本を熟読すると、新聞などの入選句がなぜ優れているのかがおぼろげながらわかるようになりそうである。

それでもまだ懲りずに迷句

・バラの香や老いたる身にもときめけり

これはいわゆる「一物仕立て」です。