続・「診せてはいけない」から⇒医学教育とシステム

再度この本から、最も基本的なことを抜粋しておきます。

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人間性を評価する医学教育システムを

日本の大学医学部で医者の卵の選抜方法は他の学部と同様学科成績、偏差値の高低のみです。これが基本的に医者の資質評価にとっては完全に片手落ちだというのです。私は全面的にこれに賛成します。実際、予備校や高校の教師が、単に高偏差値というだけで医学部を勧めたり、親も本人も良く分からず教師の言いなりになりに医学部に入る例が多いと思います。ですから、挨拶など人とまともに話もできないようなコミュニケーション能力の低い人間を医者にしてしまうのだ、と著書では述べています。それと大事なのは医者に最も大事な資質はボランティア精神であることで、学生にこれが備わっているかを入学に際して篩にかけるシステムが必要であるとも。これにも大賛成です。これが欠けると金もうけなら何でも、という詐欺師まがいの医者が巷に溢れる原因になる。それに学費が高すぎますね。開業医の跡取り息子や娘などしか医者になれないのでは政治家の二代目三代目と同じ、そんな教育システムはとても信用できないと思ってしまいます。

米国の場合は。

医者を目指す場合はまず4年生大学を卒業することが前提。そのあと統一試験を受けて目指す医科大学の面接官と面接しなければならなりません。面接では、どんな社会的活動、(例えばボランティア活動など)をしたかを聞かれるそうです。どんな運動部に所属したか、学生自治会では何をしたかも重要な質問項目とのこと。つまり、大学側の意図は、将来の医者候補たる学生のトータルな人間性評価をしようとしているのです。

著書から引用

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「欧米では医師に対して学者になるような天才的頭脳の持ち主ではなく、トータルとしてバランスの取れた人間性を要求するのである。そしてこれはという人材に出会ったら大学側はいち早く手を付ける。「君は成績も優秀だし、人間性も申し分ないからもし医者になりたいならうちの医学部にきなさい。」勿論特待生扱いだから学費はすべて免除される。

         中略

そのうえ日本では学費が異常に高い。私立の医大では卒業までに何千万もかかる。となるとかなり経済的に余裕のある家庭の子供しか入学できないのが実情だ。簡単に言ってしまえば、開業医の跡取り息子、娘ということになる。金持ちしか医者になれない教育システムなどだれが信用するというのか。ではどうすればよいか。例えば米国のように銀行が奨学金を出してあげるようにすればよい。ただし、成績優秀かつ志の高い学生に限っての話であるのは言うまでもない。

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ほかになるほどと思ったのは、日本では開業医に対する臨床の教育が不十分だという指摘です。医学博士取得が必須なため、重箱の隅をつつくような「研究」ばかりに集中して臨床の勉強も経験が十分でないのだそうです。大学に残って学者を目指す人ならいざ知らず、臨床医の卵の教育としてはいかがなものかといえるのではないでしょうか。

それから意外に思ったのは、日本の医者のほとんどは救急医療の教育訓練を受けていないため、実際の救急医療現場で救急疾患に対しての診断能力に欠けているのだそうです。救急車はすぐ来てくれるし無料だし結構なのですが、その先に問題があったとは。

引用

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日本では医者に対して非常時の訓練が行われない。大学病院の救急外来は選ばれた患者ばかり診るわけだから何の訓練にもならない。第一日本では一部の医者しか救急の現場に立ち会わない。大概の医者は救急蘇生の方法を知らないし救急診断そのものができないのだ。日本の救急医療の現状はまさに悲劇的である。ではどうすべきか。米国でやっているように、すべての医者について、二年目までは年間3か月間、あらゆる救急患者を診るようにすべきである。先輩医もいて同じ患者を診るし、指導医もいるわけだから、わからなかったり、忙しければ手伝ってもらえばよいのだ。

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救急車が早く来たからもう安心というシステムになるには先が長いということを肝に銘じて、そうならないように自己管理を徹底すること。そして大事なことはちょっとしたことくらいでは医者に近づかないこと。医者をむやみに信用しないこと👈この本から私が教えられた一番大事なことです。