朝日新聞コラム天声人語(7月17日)から気になった記述について。
「米海兵隊のオスプレイは今後、沖縄を除く国内の山岳地帯を高度60mで飛べる。自衛隊さえそんなことは原則許されない。日本の法令は、最低安全高度を150mとしている。これまでも米軍は低空飛行を繰り返しており、基地のある地域の知事らは国内法の適用をと政府に求め続けてきた。なのに、優遇のお墨付きを与えるとは、いったいどこを向いた政府なのか。」
朝日新聞らしい厳しい論調であるが、この主張には同意できる。どこを向いた政府なのかの問いの答えは、残念ながら向いてる先は米国である。国を守ってもらっているのだから、基本的に何を言われてもじっと唇をかんで下を向いて耐えるしかないのだぞよ、というのが国の国民に対する暗黙のメッセージなのだと思う。
上記の決定は例のいろいろ問題のある日米合同委員会の決定事項事項である。この委員会は在日米軍高官と日本の関連省庁高官がメンバーで、政治家は日米とも関与しない実務委員会であるにもかかわらず、合意事項に関する日本国会審議承認は一切不要なのである。だから米軍実務者の要望が日本国内法に抵触しても、委員会で日本側官僚をごり押しして合意させてしまえばそれが最終決定として効力を発揮する仕組みになっている。なぜそんなことが許されるかというと日米地位協定が根幹にあるからである。ざっくり言えば、これは在日米軍の治外法権規定であり、その見返りとして在日米軍は日本を防衛する義務を負う。日本を守ってやっているのだから、いうことを聞けというのが地位協定の本質なのだが、典型的不平等条約であり、非公開なので国民が知らない多くの秘密合意事項があるとされている。70年間一度も改定なしで来ているから、現在の国民感情にそぐわない内容がいっぱいありそうだ。これは、米国の属国と揶揄されても致し方ない状態だと思う。明治維新の新政府の最大案件は当時の不平等条約改定であった。令和の新政府もそのくらいのしっかりしたビジョンを掲げて国政、外交に臨んでもらいたいものだ。もうそろそろ防衛にも自立の意志を暗に陽に示す頃合いだとRECOCA老人は思う。若者は元気を出してもらいたい。