「あなたはどこで死にたいですか」という本。

著者は小島美里さん。私が定期的にオカリナボランティアで通っている認知症施設の代表理事さんである。岩波書店 2022年春出版。今年第6波開始直前施設でオカリナボランティアがあり、その日が偶然発売開始日だったので施設で入手していた。

長年の豊富な経験による多くの事例が問題の核心を語っている。本の表紙の問いかけ「あなたはどこで死にたい?」ほとんどの人は自宅と答えるだろう。しかし、著者はそれは難しいと答える。とくに、認知症が昂じた人にとっては。理由は介護保険が対応していないからであるという。実際介護保険税、年々高額になり納め続けているが、これを利用するときのことをイメージしたことありますか。制限が多くて全く使いにくいのだそうです。介護保険は導入以来20年が経つが内容は後退の一途というご託宣だ。医療保険は病院での使用に際して「要医療認定」など受けてなくても自分の判断で医療を受けられる。あなたは要医療1だから通院は3回までとか言って国に制限されるようなことはない。ところが同じ社会保険介護保険では国の要介護認定がないとサービスが受けられないし、介護度によってサービス内容が制限を受ける。おかしいとは思いませんかと著者は問いかける。

私が感じた一番の問題は、介護サービスを使う際の自己負担割合の増加による利用料の増加である。そのため、せっかく介護認定を受けたのに、介護サービスを利用しない(できない)人が100万人以上いるのだそうである。

この書籍は朝日新聞朝刊10月10日書評欄に書評が掲載された。

話は変わるが、先日NHKTVBs放送で在宅ひとり死を訪問診療、訪問介護で支える「おひとりさまでも家で死ねますか」というドキュメンタリー番組を見た。がんの末期患者が自宅で一人最後まで穏やかに死を迎える過程の記録である。

TVのケースは熱心な訪問診療医とそれをサポートする訪問看護師その他のグループのチームプレイがあったからできたことで、一般にはとてもできないことだと思った。それにトータルの料金も気になる。番組では、高額医療制度を使えば自己負担は何十万とかの高額ではないとのことだったが。そういえば番組で利用しているのは医療保険介護保険ではないということが関係しているのであろう。