認知症について(1)4年前のDVDを再度見て

アルツハイマー認知症(4年前のTV番組)

◎4年ほど前の録画したDVDをもう一度見直したら面白い番組がありました。NHK番組でシリーズ医療革命というのがあってそのなかの、認知症を食い止めろという番組のレビューがここに記す記事です。対象はアルツハイマー認知症。近年その患者数はとても増えています。アルツハイマー認知症の原因はすでに分かっており、それは脳内に蓄積するアミロイドベータです。これはいわば脳内のゴミ。病気発症まで蓄積期間はとても長く25年を要するそうです。だから若いころからゴミがたまらないような生活習慣を心がければ、その危険を減らせるのです。その意味でこの病気は一種の生活習慣病といえる。アルツハイマー病になりにくい(なりやすい)生活習慣もわかっています。たとえばⅡ型糖尿病の危険度は2倍、喫煙習慣の危険度は2.7倍。また運動習慣は危険度を4割下げます。生活習慣を徹底的に管理することでアルツハイマーの発症を5年遅らせたという実績の国もあります。それはイギリスです。

◎さて、発症してしまったらどうするのでしょうか。完治はできませんが、アルツハイマー病の進行を劇的に遅らせる薬が発見されて臨床試験に入ったというのがこの番組の第一章です。薬は2個ありますがいずれもすでに別の病気に広く用いられているもので、それがアルツハイマーにも効くということが分かり臨床試験に入ったところです。それが4年前のことなので、現在どうなったか知りたいところです。

その一つは、脳梗塞の治療薬シロスタゾール。このことは、日本のある開業医が、この薬を使っている自分のアルツハイマー患者の病勢進行がすごく遅いことに気が付いたのが発端でした。マウスの実験の結果シロスタゾールがアミロイドベータを劇的に溶かすことが実証され、臨床試験がスタートすることになりました。

さて、もう一つはよくご存じのインスリンです。アルツハイマー病は、別名脳の糖尿病といえる状態なのだそうです。つまり、脳が糖分を取り込めなくてエネルギー不足になっている状態です。ですから、脳にインスリンを提供すればいいわけです。しかし脳へは侵入関所が厳しくて、インスリン注射による血流では脳に流し込めない。そこで鼻孔の奥にでていて脳に直結する神経に、インスリンをスプレイで吹きかける方法を編み出しました。(米国のある医学大学)これも有望だということで、大規模な臨床試験に入ったというところまでがこの番組です。

その後どうなっているか?アルツハイマー病のインスリンスプレイ療法って聞きますか。ダメだったのかな。

次章のテーマは認知症のケアについてです。