オカリナというと浮かぶのは、まず原始的な楽器、POPなイメージ、癒しの音色、そして価格が安い。
原始的。
閉じた壺に指孔をあけただけの、これ以上ない単純な構造である。ただし、発音構造はきちんと工夫されされているので、ただ息を吹き込めば音が出る。尺八やケーナみたいに苦労することはない。
POP
これは少し説明を要する。
POPな曲のレパートリーが多いということで楽器がPOPということではない。これは楽器の歴史が150年しかないとことで、レパートリーのジャンルが何でもありで、特定の分野に縛られていないということが関係していると思う。
このことは、似た楽器リコーダーと比べるとよくわかる。リコーダーの全盛期は500~300年前のヨーロッパ中世~バロック期(これを古楽の時期という)で、同時期のレパートリーの曲がふんだんに残っている。現代においてもリコーダーに惹かれて愛好家になる人は古楽愛好家が多く、その結果演奏ジャンルも自然に古楽中心となり、RECOCAみたいに近年の流行歌をやること自体邪道と眉を顰める人が多いだろう。
癒しの音色
壺が鳴ると大体が癒しの音色になるようである。それと、オカリナの音はほとんど純音であることが関係しているのかもしれない。純音とは、倍音がなく一定の周波数の音しか含んでいない音。リコーダーもこれに近い。普通の楽器の音は倍音など複雑な周波数の音を含んでいる。
安い
楽器としては格段に安価。下記に紹介するオカリナの価格帯は2万円前後だろう。一個一個のオカリナには音の個性が著しいから、気を付けないと次々ほしくなる。プロ奏者だったら最低でも2,30個は手元に置いている。それでも百万円前後だから大したことはない。お金のことより置き場所のほうが心配かも知れない。
そしてこのポップな楽器のイメージを裏打ちしているのが、POPなオカリナ専門誌である。2010年ころの創刊だから歴史は浅いが、オカリナ愛好者が多いから売れているのではないか。カラフルでとても親しみやすい編集である。表紙はこんな感じ。
それに比べリコーダーの雑誌はかなり地味である。画像が白黒であるのがイメージを決定づけている。リコーダー雑誌もオカリナみたいにもっとカラフルでかみ砕いた編集にしてくれればリコーダー愛好家の世界も変わってくると思う。いいか悪いかは別だが。
さて、最新の雑誌Ocarinaに面白い記事があるので紹介したい。
世の中に膨大な数のオカリナが市販されているが、それを試奏してその音を付録CDに録音したものである。音の違いは思ったほどの違いはなく、ここで鳴らして紹介するほどでもなかったのでやめにして、色と形がいかに多種多様であるかだけ見ていただくことにする。いうまでもなくここで扱っている24個は氷山の一角である。