非常に気になること

南相馬在のある詩人は、原子力発電を核発電、原発事故を核災と呼ぶそうだ。これは武漢ウイルスと同様、本質を穿つ言いえて妙な表現だと思った。

◎何気なく机の上に置いてあった本を開いてみて、ぎょっとして目が釘付けになった。自分は買った覚えがないが、女房がネットから500円で注文したものだという。そういえば最近本が増えていると思ったらネットから買うことを覚えたらしい。しかしこの本に目をつけるとはいい線をいっている。

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堤未果著・講演録「株式会社アメリカの日本解体計画」経営科学出版

著者は、前著ベストセラー「日本が売られる」で知られる国際ジャーナリスト。

本の帯にかかれているメッセージを拾ってみよう。

・巨額のお金が動くところ米国民間金融自国米国金融界の利益企業(ウオール街)の陰がある。

小泉政権による郵政民営化達成の裏でなぜ米国民間金融企業の人物から竹中平蔵氏に細かな指示がおくられていたのか。

・なぜ日本国民の大事な年金を運用するGPIFは、世界の流れに逆行して株式保有率の上限を撤廃し、運用委託先にアメリカの民間金融企業を中心に据えたのか。

アメリカの民間金融企業日本法人の元副社長が、なぜゆうちょ銀行の副社長に就任し、今度はソフトバンクの副社長を務めているのか。

・世界中で使用中止が相次いでいるモンサント社の危険な除草剤がなぜ日本では大っぴらに流通しているのか。

以下は紹介の同著からRECOCAが咀嚼理解した内容である。しかし著書の内容の正誤を判断する能力は私にはないのであくまでも一つの見方としてとらえ、最期はご自身で判断していただきたい。

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さて、上記の米国金融企業とは今や巨大さゆえに何をやらかしても潰せない存在に成長させてしまったゴールドマンサックスである。いわば、RECOCAの見るところ、金融界の中国共産党のような存在にみえる。そのようなゴールドマンサックスの元社長、役員クラスの大物が日本政界、財界、企業にブレーンやコンサルタントとして収まっている。彼らは自国米国の金融界に資するべく政財界に対して強力なロビー活動をしているのである。その代表が多分菅総理のブレーン、デービッド・アトキンソン氏だと思う。アトキンソン氏の持論は、日本の中小企業は生産性が低いから再編して数を半数にすべきというものである。

「政府は彼の助言に従って7月11日に企業の再編を促す成長戦略実行計画を閣議決定した。成立すれば秀逸な技術を持つ日本の中小企業は淘汰されM&Aが盛んになりウオール街に巨額の手数料が流れ込む。準備に余念がないゴールドマンサックスは日本での富裕層向け資産運用ビジネス参入を決定している。」現在のコロナ禍は中小企業淘汰千載一遇の好機会と思っているのではないだろうか。

堤未果氏の言によれば、米国の現状はもはや合衆国ではなく州政府の上に君臨して政治を動かす合ウオール街巨大金融企業国だというのである。そういう目で注視しないと日本の金融資産が根こそぎウオール街に持っていかれる危険に瀕している。読んでいて思わず背筋が凍り付いた。安倍、菅二代の首相を担いで我々はそういう路線を唯々諾々と歩んでいるのである。若い方々は是非目を見開いてもらいたい。

なかでも、我々の生活に直結する問題である年金の運用。日本の年金運用機関の抱えている金額は130兆円。いわば年金基金の寅の子である。ウオール街はこの資金をウオール街で投資してもらいたいのである。それでその投資コンサルタントとして高額報酬でウオール街から人材を入れ、安倍政権の下で株式投資比率を自由にして投資する。問題は単なる株式でなくウオール街の人材が発明した高リスク商品にコンサルタント指導で手を出しているらしいことである。それで2015年に巨額の損失を出し、その後5年のうち2年で損失計上。特に2019年には8兆円規模の損を出した。招へいした投資コンサルタントは結果にかかわらず1億円の報酬を得る。大赤字でどうしようもなくなれば税金補填だろうがだれも責任を取らない。こんな楽な商売はない。

似たような問題の発端は小泉政権竹中平蔵氏振り付けの郵政民営化であった。郵便公社には国民のなけなしの金を含め340兆円があった。ウオール街はこれに狙いを付けた。そしてうまく民営化させ株式投資が自由にできる会社を誕生させた。そして、それ迄安全な日本国債兼で国民の金を運用していたゆうちょ銀行は米企業株や債券の比率を高めゴールドマンサックスの進めるリスク商品に投資するようになっている。

次の狙いは600兆円の貯蓄を有する農協といわれている。農協解体民営化は小泉氏の息子により現在進行中らしいですね。実現すれば親子二代の功績としてウオール街に銅像が建つかもしれませんね。

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最後に私自身の感想を言わしてもらえば、歴代政権が進めてきた規制改革民営化路線は大義名分があり、それなりに存在意義のある政策である。そのなかで著書で言われるような投資に巨額赤字をもたらしている責任はひとえに、甘い餌に飛びついて愛国心をなくし日本国民の財産を手玉に弄んでいる日本側の中枢にあると思う。進退は日本側自らの意思で決められるのである。それをウオール街のせいで致し方ないというのは筋違いというものである。