なるほど納得

医者が勧める不養生 遠山高史 から引用

「そもそも、医者の寿命は市民の平均より短いし、医者も市民と同じくらい病気する。この一事をもってしても、医者の言う健康教育などをなぜ人はあっさり信じるのか不思議である。むしろ、偏った知識を与えることで市民を疾病恐怖症に陥れて、神経性の胃・十二指腸潰瘍を多発させている可能性がある。すでに医学情報というものは膨大な量に達し、一人の医者が学習できることはそのほんの一部にしかすぎなくなっている。そのほんの一部の知識、それもすでに起きてしまったり、目前の困難を回避するためだけに有用な知識に脳を占拠されてる人間に、先行き起こりうる厄災を予測できる能力がさほどアルトは思えない。むしろ、目前の鮮やかな成果を得ようとするため、先のことを無視する傾向が強い。例えば、血友病患者にエイズを感染させてしまったことを当初予測することはできなかった。」

医者本人からの告発であるだけになるほどと納得できる。内心ではそうではないかとは感じていた。どの分野もそうだが医者に関しても、専門の狭い範囲の知識は深く情報も多い。しかし情報が多すぎて全体を網羅的に理解できないために、将来人の体に何が起こるかなど予測できないのである。人間の体はパーツごとに独立して動いているのでなく、複雑な組み合わせのもとに連動しているからである。人の体を全体像としてとらえる漢方的な視点が必要なのだ。血圧の医者はやたらと下げたがるし、外科医はやたらと臓器を切除したがる。数値が改善し当面の病気は改善したかもしれないが、長生きにつながったかどうかは別問題なのである。