医療の逆説(1)

近藤誠先生の本から。

「医療に満足すると死亡率が26%高い。

アメリカ医師会が出している有名な雑誌に2012年、「満足の代償」と言う記事が載って大きな反響を呼びました。医療保険に入っている米国人5万人以上の医療費と健康の関係を5年がかりで追跡調査したら驚きの結果が出たんです。各人が病院へ行って受けた医療の満足度を項目別に各自評価してもらい4つのランクに分けました。当然ながら、親切な病院や医者に恵まれ、ていねいな医療を受けているほど満足度は高まります。医療に満足しているグループの人は転ばぬ先の杖で、体の異変があるとすぐに医者に診てもらい、よく薬を飲み、早めに入院する傾向が強い。ところが、4,5年追跡調査したら、一番医療に満足しているグループは、一番低いグループ(つまりあまり医者に行かない、薬も飲まない)に比べて死亡率が26%も高かった。」

こういう落語のようなお話が近藤先生の本にはいくつも出てきて実に楽しい。