夢路より、フォスター

おはようございます。

今朝もほぼ小春日和の快適な快晴です。

今日の名曲は、フォスターの夢路よりをお届けします。

これはフォスター好きのかめきちさんのリクエストでフォスターの曲をとのことだったので、夢路よりを選曲しました。

フォスターは米国の作曲家、親しみやすい多くの歌の曲を世に出しました。日本でのフォスター人気は米国を上回るともいわれています。明治22年1888年)に「故郷の人々」が、明治唱歌読本に「あはれの少女」として登場以来現在に至るまで、小・中・高の教科書に一貫して採用され続けています。

フォスター作曲の歌は、大きく二つのジャンルに分けられます。一つはイギリスやアイルランドの民謡風で優雅な曲想のもの。例えば、ここに取り上げる夢路よりとか、金髪のジェニーなんかが有名です。他の一つは、米国南部の大農場で酷使される黒人の苦難や嘆きをテーマにした曲です。例えば、オールドブラックジョー、故郷の人々など。

多くの親しみやすい歌で聞く人の心を慰めてくれましたが、残念ながら本人の生活は悲惨だったとのことです。著作権のない時代だったので、曲がヒットしても何の見返りもなく困窮生活の一生だった。最後は安ホテルで酒で野垂れ死に。わずか37歳の一生だったとのことです。それでも、フォスターを記念する碑は生誕地にあるそうです。

実はこの曲は死の数日前に完成した遺作で、死後に発表されました。ここでの「夢を見る人」とは普通想像するような、眠りの森の美女的美人ではありません。下記の詩(本人作)を丹念に読むと、自身の困窮した人生は終わりをつげ、生活の悲しみのない夢の世界に移行するのだというようなニュアンスにとれます。一種の告別の歌ではないでしょうか。

ということで、著作権はしっかり制度的に確保しておかないといけないという教訓を与える事例ですが、著作権の事務局が権力を持ちすぎて利用者からがむしゃらに搾り取ることばかり考えるようになると行き過ぎと言わざるを得ません。バランスの取れた運用指導を行うべきでしょう。

・春隣笛の調べの息吹にも

・手のひらをじっとかざして春の雪

             recoca

夢路より

オカリナ演奏:RECOCA

youtu.be

津川主一の訳詞

夢路より かえりて
星の光 仰(あお)げや
さわがしき 真昼の
(わざ)も今は 終わりぬ
夢見るは 我が君
聴かずや 我が調べを
生活(なりわい)の 憂いは
(あと)もなく 消えゆけば
夢路より かえりこよ

海辺より 聴こゆる
歌の調べ 聴かずや
立ちのぼる 川霧(かわぎり)
朝日受けて 輝(かが)よう
夢見るは 我が君
明けゆく み空の色
悲しみは くもいに
跡もなく 消えゆけば
夢路より かえりこよ